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絵本「おおきな木」読み比べ(英語、旧訳、村上春樹訳他)

はてなブログの「ある記事」で「おおきな木」という絵本が紹介されていました。

 

www.nahdaannun.com

 

この絵本には、ほんだきんいちろう(本田錦一郎)訳と村上春樹訳があります。
ブログの記事には「二冊読み比べてみると、翻訳者というのがどれほど大切かがよくわかる」と書かれています。

 

今、書店で普通に売っているのは村上春樹訳だけですが、図書館には、ほんだきんいちろう訳もあります。そこで図書館に行って借りてみることにしました。せっかくなので、直接行ける図書館においてあった英語版The Giving Treeと韓国語版も借りて来ました。中国語版などもあるようですが、近くの図書館にはありませんでした。その結果、合計4冊の「おおきな木」を見比べてみることが出来ました。

 

まず英語版と最初の日本語訳(ほんだきんいちろう訳)には、裏表紙に、スキンヘッドで立派な髭を貯えた(ひげをたくわえた)顔写真が載っています。誰の写真なのかは書かれていないのですが常識的に考えて原作者のシェル・シルヴァスタインだと思います。

 

ほんだきんいちろう訳では、本文は全てひらがなで、文節ごとに分かち書きをしています。小学校1年生の国語の教科書のような表記法。音読や朗読することを意識した文体かもしれません。村上春樹訳は漢字も使って普通の日本語に訳されています。読む人によって好みが分かれるポイントでしょう。

 

英語版は非常に読みやすい平易な英語で書かれています。(trunkで木の幹と言う意味になるとか、私が知らない英単語は結構ありましたが・・・)
しかし、木を指し示すshe、主人公が大人になっても使われるboy、そして何回も登場するhappyなど日本語に訳すとなると悩ましいのかもしれません。  

 

最も悩ましいのは「The Giving Tree」という元々の題名を何と訳すかでしょう。直訳すれば「与える木」になるということは、ほんだきんいちろう訳のあとがきにも、村上春樹訳の訳者あとがきにも書かれています。村上春樹訳では、「混乱をさけるために」、おおきな木という元の題を、そのまま使ったとのこと。
一緒に借りてきた韓国語版のタイトルは아낌없이 주는 나무(惜しみなく与える木)。ネットで検索してみると、色々な言語に翻訳されたタイトルは、英語版とも日本語版とも異なるようです。

 

The Giving Tree(原題)
「おおきな木」(日本語版のタイトル)
愛心樹(中国語)
아낌없이 주는 나무(惜しみなく与える木)(韓国語)

 

その他にもウィキペディアで各国の解説ページを表示してグーグル翻訳でタイトルを訳してみました。

L'Arbre généreux「寛大な木」(フランス語)
L'albero 「木」イタリア語
Щедрое дерево「寛大な木」(ロシア語)
உயிர் தரும் மரம் (நூல்) 生きている木(タミル語

 

ウェブ翻訳なので誤訳もあるかもしれませんが、直訳しにくいタイトルのようです。

 

読む人の成長とともに新たな味わいが生まれてくるタイプの本。原著と複数の翻訳書をならべて眺めてみるのも楽しい本でした。