好きなことを知っている人は、しあわせ

好きなことを知れば幸せになれる。好きなことが分からないと幸せになるのは難しい    

レモンをお金にかえる法(絵本)


 

 


レモネードを販売するお店を作った女の子。
彼女が直面する試練を通して経済学を学ぶ絵本。

本編32ページ。英語版の出版は40年以上前。
翻訳は著名な経済学者の佐和隆光京都大学教授(出版当時)

 

第一作は“経済学入門”の巻。
お店の経営がテーマなので、分野的にはミクロ経済学経営学が中心。
日本で「レモネード屋さんを作った女の子」の絵本を作る場合、いかに美味しいレモネードを作るかとか、いかに売り込むか(接客やサービス)と言った内容が中心になるかもしれません。しかし、この本のテーマは、ものづくりやサービスではなくて、お店(会社)の経営です。

 

原料と資金を確保するのがスタート地点。
ここからが、この絵本の真骨頂。お店を本格的にやっていくには、人を雇う必要があります。雇われた人は給料に不満をもつかもしれません。賃上げを求めてストライキをしたり、お店をやめてライバル店を作ったりするかもしれません。
レモンをしぼる機械を買うべきなのか、選択も必要です。

 

お店(会社)を経営していくには、良いものをつくって、良いサービスを提供すること以外にも大切な要素があると納得できる物語になっています。
また経営者と社員では立場が異なるということも、レモネードの売店を通して学びます。

 

続編は(インフレ→不況→景気回復)というサブタイトルで、レモンの不作による不況から景気回復までを描いています。こちらはマクロ経済がテーマ。1973年のオイルショックをほうふつさせる内容です。その後に起こったバブル崩壊リーマンショックと比べると、かなり状況が異なります。そのため内容が古いという評価も出来そうです。

 

個人的には、第一作の“経済学入門”が、日本の子ども達には学ぶ機会の少ない「経営学入門」になっていて、今でも価値が高いと思います。

 

レモンをお金にかえる法 “経済学入門”の巻 (新装版)