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公文式のメリットと弊害を解説した本。(祥伝社新書 2017年出版)
(タイトルに東大生を入れたほうが、本の売れ行きが良いのでしょう。第1章に十数ページ、東大生を集めた座談会が収録されています)
「やっててよかった、公文式!」のCMでお馴染みの公文式。しかし実際には個人差が大きく、公文式が「合う子ども」「合わない子ども」「本人は合うと思っているけれども、弊害の方が目立つようになる子ども」に分かれるようです。
その理由は、公文式の特徴と大きく関わっています。
算数では、計算力が全て。
とにかく計算練習に集中。
先生は基本的に説明しない。
プリントの誘導に従って解答を記入。
100点を取れないと、同じ単元をやり直し。逆に、100点を取れるなら学年に関わらずどんどん進める。
「公文が合っている子」は、ゲームを解くように、夢中になって、どんどん進んでいくのでしょう。
一方、公文が合わないタイプ
公文のプリントだけでは
正解に到達するのが難しい子。
答を出すだけでなくて、
理屈をしっかり理解したい子。
難しい問題を、
じっくり考えて解くのが好きな子。
(数学者のように、本当に算数、数学が大好きな子ども。)
知能は高くても、基本問題をミスなく解くのが苦手な子。
問題を解くのにかかる時間を計ったり、教材の進行具合を競ったりするのが好きではない子。
(子どもは嫌なのに、親がこだわり過ぎると、弊害が大きくなることも)
また本人は公文が合っている(役に立った)と思っているのに、周囲の人には公文の弊害が目立つ厄介なタイプも。公文で学ぶ内容は、小学校の算数、中学、高校の数学の一部に過ぎないことを理解していないため、学校の授業で必要なことを学ばずに成績が落ちていくタイプ。このタイプが「公文の弊害」として最も目立つようです。
また中高一貫校「公文国際学園」での経験から、成績優秀な高校生に公文式をやらせても、あまり効果的ではないとのこと。東大生の多くは、小学3年生、4年生ぐらいで公文式をやめて、中学受験の準備を始めているようです。
中学入試から大学受験まで、大いに役立つことが多い公文式。しかし保護者の側に全く予備知識がないと、子どもに合わなかった時の副作用も大きくなりがち。公文の長所と短所を冷静に理解するための1冊です。