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2010年出版 紙の書籍は品切れ
日本人の多くは漢字を繰り返し書くことで覚えこみます。一方、一部の外国人や少数の日本人は、漢字のパーツの組み合わせを呪文のように覚えていたりします。
漢字のスペシャリストというわけではないのに、薔薇とか鬱とかを書ける人には、
漢字を呪文のように覚えている人もいます。この本は漢字を呪文のように覚える学習法、教育法について説明しています。
きっかけは、パソコンの音声読み上げソフトの誕生。(もう30年ほど前の話)
それまで日本語を点字に翻訳してから理解していた視覚障害を持つ人たち(全盲、弱視の人)も、文章を自動で読み上げることが可能になりました。一方、普通の日本語を入力するためには点字と異なり、漢字の知識が必要になります。盲学校に勤務していた著者、道村静江は、盲学校での漢字教育を試みます。その後、一般の小学校での勤務(漢字学習の指導)も経験し、「(漢字の)部品の組み合わせ」で漢字を覚える方法を体系化していきます。また盲学校での指導経験から、漢字の音と訓をセットで覚えるメリットも強調しています。(普段点字を使用している人は、読み方は違っても同じ漢字だと認識するのが難しいため)
具体的な授業の様子は、ユーチューブで公開されています。
(2018年5月に行われた特別授業)
漢字が得意な人には、かえって面倒に感じるかもしれません。また漢字の学習法に関する立場や考え方は人それぞれでしょう。しかし、漢字の苦手な小学生、漢字の学習が大変なタイプの障害を持つ人、日本語が母語ではない外国人、こういう人たちに漢字を教える時に、一つの選択肢として役に立ちそうです。
余談ですが、音声読み上げソフトを持っていなくても、グーグル翻訳にも日本語を読み上げる機能がありました(簡易的なものですが、日本語を入力してマイクボタンを押すと読み上げてくれます)。ブログを書いた後に、音声読み上げ機能で確認してみるのも良いかもしれません。