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出版社と書店はいかにして消えていくか 小田光雄 1999年


 

 

リンク先は2008年出版

今回私が読んだのは、1999年発行のものを、図書館のリサイクル図書として、もらってきたものです。


 1999年時点での出版業界の危機と、そこに至るまでの出版業界の歴史を振り返ったもの。出版業界の問題は、大手取次業者(日販とトーハン)の問題と言う、現代的な理解の先駆けとなった本のようです。


 最近の本屋さんの閉店、減少を目の当たりにすると、インターネットの影響と思います。しかし、インターネットの影響が本格化する以前に、郊外型書店の出店ラッシュによるバブルのような状態があり、そのあおりを受けて、出版界全体が危機的な状況にあったと解説されています。(1999年当時)


 既に、電子辞書も電子書籍もありましたが、出版界への影響は無視できる程度。
俗に電子書籍元年と呼ばれているのは、iPadが発売された2010年と、10年も先のこと。当時は、DTP(Desktop publishing、デスクトップパブリッシング)の導入によるコスト削減の恩恵の方が大きかった。


コンビニエンスストアが、じわじわと書店の雑誌売り上げを奪っていく状況が長く続く。当時、最大の脅威はブックオフ。現在のブックオフとは違って本の内容や価値とは無関係に、本の定価と、書棚に置かれた期間から、機械的に値段を決めていた時代。上陸前の黒船、Amazonを警戒し、遅れて整備された公共図書館に神経をとがらせていた時代。


 明治から大正、昭和にかけての出版社の歴史も、読みやすくまとめられています。


 本屋さんがなくなることに関して何となく抱いていたイメージと、実際に起こっていたいたことのギャップが新鮮で、最後まで興味深く読めました。

 

余談
本文中にブックオフの100円コーナーを嘆く箇所がありますが、コロナ禍がなければ、この本は図書館のリサイクル市で、誰かに10円で引き取られていたのかもしれません。

 

出版社と書店はいかにして消えていくか 近代出版流通システムの終焉 [ 小田光雄 ]