ぼくたちは池田先生をわすれない
筋ジスとたたかいながら塾をつづけた池田浩己さんの記
(わたしのノンフィクション)
発売日: 1992年12月01日頃
著者/編集: 文 小川陽子, 絵 保田義孝
レーベル: わたしのノンフィクション
出版社: 偕成社
発行形態: 全集・双書
ページ数: 142p
ISBNコード: 9784036345502
この本も図書館のリサイクル図書をもらってきたものです。新しい本と入れ替わりに、図書館から一般の人に譲渡されるリサイクル図書。数年で新しい本と入れ替わる本や、図書館が大量購入したベストセラーが中心ですが、時々、20年以上前の本も含まれています。
本書の出版は1992年。(ホーキング、宇宙を語るは、1988年、乙武洋匡の五体不満足は、1998年の出版)1980年代から90年代初めにかけて、難病筋ジストロフィーと闘いながら、自宅で学習塾を開き、教え続けた池田先生の記録です。
(児童書、闘病記、難病を扱ったノンフィクション)
筋ジストロフィーは、映画化された「こんな夜更けにバナナかよ 」でも注目された病気。「こんな夜更けにバナナかよ 」が、20年から30年ほど前の話なのに対して、本書は、30年から40年ほど前の話。紙の新聞に存在感があった時代。ワープロやパソコンは普及し始めたものの、まだインターネットには、つながっていない時代。
難病と生きる人にとって、進学、就職、介護の全てが、手探りだった時代。事実上、親が介護するか、施設で暮らすかのどちらかだった時代から、ボランティアによる介護という選択肢も模索され始めた時代。介護のシステムが一応確立されている現代とは隔世の感があります。
様々な制約の中で、精一杯の自己実現を追求し続けた姿が印象的な作品です。
当時の映画やドラマを見ると、「普通の人の暮らし」は、それほど変わっていないような気がします。しかし難病を取り巻く状況は大きく変化したんだろうなと思います。時代が変わると、子どもたちには理解が難しい本に。図書館としては、1冊だけ保存用の書庫に保管して、残りは手放したようです。