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最近の図書館ではマンガも珍しくありません。しかし、その多くは既に評価の定まった定番作品か、エッセイ漫画、学習マンガです。時事ネタを扱う風刺漫画が図書館に置かれていることは非常に稀です。(赤塚不二夫が週刊文春に連載していたギャグゲリラの文庫本は図書館に置かれていましたが、例外的なケースでしょう)
そんなわけで、ワイドショーネタを題材にした風刺漫画、辛酸なめ子の「諸行無常のワイドショー」は、図書館には似つかわしくなくて目立つ存在なので、気になって借りて来ました。
辛酸なめ子と言うと、たまにテレビで見かける人、女子向きの本を何冊か書いている人(こちらは図書館でも見かけます)、最近、芸能界を引退して局地的に話題になった「おかもとまり」の愛読書と言うイメージで、漫画家と言うイメージはありませんでした。あまり似せようと言う気はなさそうだけど時々似ているイラストが印象的。
この本は今から5年ほど前、2012年から2015年ごろのワイドショーネタを扱ったマンガです。
元オセロ中島の洗脳騒動とか、矢口真里の不倫、安藤美姫の出産、峯岸みなみ坊主に、加藤茶の衰弱と鬼嫁疑惑と言った内容です。(イギリス王室の話など、漫画でなければ難しいネタも)こうしたテーマに想像(妄想)を膨らませていきます。例えば、加藤茶夫婦の場合、事実かどうかは別として嫁は財産目当て、野心家でギラギラしていると言う前提で色々なことを想像していきます。わざと体に悪いものを食べさせ、心理的なストレスも加えているという風に。
毒舌と言えば毒舌なのですが、テレビのワイドショーのように正義をふりかざすタイプの毒舌ではなくて、ものまね芸人がモデルの変な部分を誇張するようなタイプの毒と言えばいいのでしょうか。人間としては健全な想像力を発揮しているような気もします。
ワイドショーとかネットの芸能ニュースって、悪を糾弾したり、共感をもとめるのではなくて、こんな風に楽しめばいいと教えてくれると言う意味で面白い作品だと思います。
今はネットに妄想っぽいことを書くと、炎上したり、名誉毀損になったりして、平和に妄想を楽しむことが難しい時代。ある意味貴重な内容かもしれません。