好きなことを知っている人は、しあわせ

好きなことを知れば幸せになれる。好きなことが分からないと幸せになるのは難しい    

日本語のニュアンス練習帳 中村明 岩波ジュニア新書


 

 

「国境の長いトンネルと抜けると雪国であった」この文でトンネルを抜けたのは?(川端康成の雪国から)理屈で考えると列車とか機関車になりそうですが、日本語のニュアンスとしては、トンネルを抜けたのは小説の主人公。


長嶋茂雄が引退した時のスピーチ「巨人軍は永久に不滅です」。しかし日本語としては、「永遠に不滅」のほうが自然な感じがするのは何故?

 

こうした日本語の細かい表現や意味に「こだわった」練習問題、100問をQ&A形式で収録しています。(問題と言うよりも、「問い」が小見出しのようになっています)

 

日常会話よりも少し古風な表現が中心。明治から昭和にかけての文章、特に文学作品と呼ばれるような小説を読むのに役立ちそうな単語、文法、敬語などの知識が紹介されています。

 

「女は女である時に最も女性である」と言う戦後すぐのコラムから取った例文も。女や女性と言った単語自体は今も使われていても、意味や用法がかなり変化している例だと思います。

 

また文脈が無いと解釈が定まらない多義的な文章を示して、どんな解釈が可能かを考える問いも。(「ないものはない」「花を贈った人」など)途中まで、やっぱり感覚、語感は大切だなと思って読んでいると、論理的な読み方も必要だと思い知らされるかもしれません。

 

国語(現代文)は好き、昭和の小説は好き、だけど正確な読解は苦手と言う人にお勧めの1冊。

 

ちなみに、よく似た書名の「日本語練習帳」は岩波新書のロングセラーです。
(著者は大野 晋、1999年の出版)

 

日本語のニュアンス練習帳 (岩波ジュニア新書) [ 中村明 ]