好きなことを知っている人は、しあわせ

好きなことを知れば幸せになれる。好きなことが分からないと幸せになるのは難しい    

銀河鉄道の夜 (文芸まんがシリーズ 新装版)


 

 

宮沢賢治の名作童話、銀河鉄道の夜。漫画版はいくつか出版されているようですが、今回読んだのは、たまたま図書館で見かけた「文芸まんがシリーズ新装版」です。1992年に出版されたものの新装版。(株式会社ぎょうせい発行)。セロ弾きのゴーシュも収録。

 

原著、特に岩波文庫で読もうとすると意外と難しいのが銀河鉄道の夜。戦前に執筆された作品であり、ヨーロッパの童話のような体裁をとる点も、読解のハードルを上げています。松本零士による銀河鉄道999の原作が、漫画ということもあり、銀河鉄道の夜も漫画で読みたくなります。(特に999をアニメで見ていた40代にとっては)

 

今回は漫画版を90分程度で読み終わりました。普通の漫画と比べると随分、読み応えのある内容です。銀河鉄道999が旅そのものをテーマとしているのに対して、銀河鉄道の夜は神秘体験に近い内容。(臨死体験だったのかもしれません)。タイタニック号の沈没で亡くなってしまったらしい女の子が列車に乗り合わせるなど、想像以上にシリアスな内容でした。ヨーロッパの物語という設定ですが、日本人の少年が一神教の社会に迷い込んでしまい戸惑っているようにも見えます。

 

一緒に収録されているのは、セロ弾きのゴーシュ。セロとは楽器の「チェロ」のこと。こちらは、音楽の力をコミカルに描いたもの。下手くそだと指揮者に怒られてばかりいたセロ弾き(チェロ奏者)のゴーシュ。しかしゴーシュのチェロには動物たちを癒す力があった。銀河鉄道の夜が、芸術性、文学性の高い作品なのに対して、セロ弾きのゴーシュは、「注文の多い料理店」のように娯楽作品としても楽しめる内容。

銀河鉄道の夜 (文芸まんがシリーズ 新装版) [ 宮沢賢治 ]