好きなことを知っている人は、しあわせ

好きなことを知れば幸せになれる。好きなことが分からないと幸せになるのは難しい    

対話を拒否し自分の物語に固執する水季(ドラマ 海のはじまり)

(ドラマ 海のはじまり 第一話のネタバレを含みます)

 

フジテレビで放映中の月9ドラマ「海のはじまり」が、他のドラマと違った印象を与える大きな要因は、南雲水季(古川琴音)の極端で常人には理解しがたい言動。


第一話で南雲水季(古川琴音)の妊娠が発覚して、月岡 夏(目黒 蓮)に、中絶の同意書にサインを求める時、水季は、ほぼ一方的にしゃべり続けて月岡 夏を圧倒してしまいます。
そのシーンは鬼気迫るものがあり、どう見ても中絶を覚悟しているようにしか見えません。しかし、しばらくすると、月岡 夏を含む親しい人にも事情を説明しないまま大学を中退してしまいます。事情を聞こうと水季に電話した月岡 夏に対して、水季は「夏君より好きな人ができた」と言って、月岡 夏と別れてしまいます。その後、水季の葬儀の日まで、月岡夏と南雲水季が出会うことはありませんでした。その一方で、水季は、娘の海(泉谷星奈)を出産してシングルマザーとして娘を育てる。娘の海(泉谷星奈)には、月岡 夏が父親であることを伝え、夏が住んでいるアパートも教える。水季は生前、これらのことを夏に伝えることは一切ありませんでした。すべては水季の死後、水季の母、南雲朱音(大竹しのぶ)と、水季の娘、海(泉谷星奈)によって、夏に伝えられることに。

 

南雲水季(古川琴音)のセリフは、相手がいるのに実質的にはモノローグ(独白)に近いと言うか。子どもを産むかどうかみたいな、相手がいる場面で、相手はダイアローグ(対話)を求めている場面で、自分の思い描く物語(ストーリー)をひたすら語り(自分が語る物語であるナラティブに固執して)、実質的には対話を拒否してしまう。

お金さえあれば、こういう生き方も出来てしまうのが現代社会という気がします。
なろう系と言われる深夜アニメなどは、南雲水季のような主人公が活躍する物語なのかもしれません。

一方、このドラマでは、妊娠、出産とか、病気とか、個人の物語に引きこもることが許されない事態が起こります。(水季の死因については劇中では明らかにされていませんが、ネット上では脚本家 生方美久氏のコメントに基づいて、癌で亡くなったのではないかと言われています。第3話終了時点)

 

第一話
南雲水季が夏に、中絶の同意書へのサインを求めるシーン
「夏君はおろすことも産むこともできないんだよ。私が決めていいでしょ?」

水季のセリフは間違いではないものの、何か大切なものが欠けているような気もします。