好きなことを知っている人は、しあわせ

好きなことを知れば幸せになれる。好きなことが分からないと幸せになるのは難しい    

今日から始まるナラティヴ・セラピー


 

ナラティヴ・セラピーの一番易しい(優しい)本。

 

この分野に馴染みのない人には内容を説明しずらい本ですが、ナラティヴは日本語に訳すと物語。文学作品や小説のことではなくて、「あるまとまった内容のことを話すこと(広辞林)」。 ナラティブセラピーは、物語を語る心理療法です。

 

物語には、ただ一つの正解や真実があるわけではなくて、一人一人が、自分の好むストーリーを語ればいいわけです。(ファンタジーではなくて、普通は、実際に経験した出来事から、語り始めます)

 

カウンセラーや支援者が、正しさを押し付けるのではなくて、まずはクライアント(支援を受ける人)の物語を大切にします。クライアントを否定したり、責めたりするのではなくて、「問題」のストーリーを、「回復」のストーリーにつなげていくことを目指します。

 

 

個人的には、心理療法の技法というよりも、相手の気持ちを大切にするコミュニケーションを考える時に、色々と参考になる内容だと思いました。良いことではないと思っていても、人は他者のことを外見や、分かりやすい属性で判断しがち。そして、自分の価値観を相手に押し付けるようにして、相手を評価します。
そうした習慣をいったんリセットして、「人は、それぞれ異なる世界、異なる物語を生きている。」という所からスタートする。そして異なる物語を生きる人間同士が、傷つけあうのではなくて、お互いに大切にする方法を考える。そんな理想と、具体的な技法が、どこかで交わりそうな希望を感じる1冊です。