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「人と人との」関係性に焦点を合わせた、珍しいタイプの福祉の教科書。
援助関係を次のような4パターンに分けて説明しています。
1専門職的関係
客観的に把握できて個人的な問題を扱う「医師と患者」のような関係
2ポスト専門職的関係
客観的に把握できて環境的な側面を扱う「福祉サービスの提供」に代表されるような関係
3アンチ専門職的関係
個人的で主観的な側面を扱う。この側面を追求すると「クライアントこそが専門家である」という、「援助する人」と「援助される人」の立場の逆転が起こる。
4プレ専門職的関係
素朴な友人関係から発展したもの。社会福祉援助活動の源流の一つとして重要。また現在では、主観的で環境的な文化的側面、偏見などの解消に役立つことが期待されている。
この4つの中で、特に3のアンチ専門職的関係について、ナラティブ・アプローチ、「物語」の尊重を含めて詳しく説明しています。
著者の専門が精神保健福祉であり、ロジャースの来談者中心療法やフロイトの精神分析なども簡単に紹介しています。福祉の心理学入門といった趣の1冊。
文章が読みやすく、ゆっくり、じっくりと重要な概念について考えていくタイプの教科書。一般的なサービス業と援助関係の「共通点と違い」について、考えるための入門書。