ロブ・ナイト 山田拓司 他訳
電子版
微生物と人間の健康について平易に語った読み物。
かつてのように感染症の原因となる病原性微生物を中心に語るのではなくて、だれの体にも生息している腸内細菌などの常在細菌が主役です。
人間の口や腸、皮膚などにいる微生物(細菌など)は、だれでも同じではなくて人によって一人ひとり違う。その理由は、いくつか考えられます。出産の時(人によっては帝王切開の時)に体についた細菌が違う、母親の遺伝子が人によって異なるだけでなく常在細菌もことなる。長年の食生活の影響。都市と農村など住んでいる地域の影響など。
また腸の炎症や肥満、うつ病など、感染症以外にも細菌が関わっていると思われる疾患が数多くあること。しかし、これらの疾患では悪玉菌を殺すといった発想ではなくて、多様な細菌のバランスが人間に健康をもたらすという発想のほうが妥当であること。
細菌のDNAを解析する最新の方法が進化する一方で、実験動物のマウスを使った研究も依然として重要だということ。
研究の進歩が著しい一方で、科学的根拠に乏しい健康食品が氾濫しているのはアメリカでも同じなので、基礎的な知識を持つことを求めています。
1日で読める「微生物と人間」の話。