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NHKで放送されたドキュメンタリー番組「ウクライナ語で叫びたい」
当事者ならではの迫力は圧倒的でした。
一方、ウクライナの言葉事情に馴染みのなかった私たちにとっては分かりにくい部分もあったと思います。
そんな時に頼りになるのが図書館です。
地元で一番大きな図書館、地域の中央図書館に「スラヴ語入門(三谷惠子)」という本がありました。(2011年発行)
楽天ブックスでは品切れ。
200ページほどのコンパクトな1冊ですが、ロシア語、ウクライナ語、ベラルーシ語、ポーランド語などスラヴ語に属する16言語の特徴を解説した本です。
(スラヴ語は単一の言語ではなくて、言語のグループ名です)
第4章の「スラヴ語と現代社会」に「帝国の遺産 その1 ウクライナとベラルーシの言語事情」という数ページの解説が載っていました。
主な内容
2006年時点で行われたアンケート結果によると、ウクライナ国内で家庭でウクライナ語を使用している人は45%、ロシア語を使用している人は38%、両方使用している人は17%となっています。
またウクライナ国内でも地域差が大きく、西部ではウクライナ語が根強く、東に進むにつれてロシア語が補完するようになり、(ロシアに併合される前の)クリミア半島ではロシア語の力が圧倒的であるとされています。
また世代間での差もあり、若い世代ではウクライナ語が定着して、ロシア語を話す人が減っていることも示されています。
一方ベラルーシでは圧倒的なロシア語優位とされています。
(以上、第4章の「帝国の遺産 その1 ウクライナとベラルーシの言語事情」から)
大きな流れとしてはウクライナはロシア語中心からウクライナ語中心に移行中だったようです。
その一方で、当たり前のようにロシア語で生活してロシア語に愛着を持っている人も多かったのが独立後、ロシアが侵攻してくる前のウクライナ。
「ウクライナ語で叫びたい」というドキュメンタリー番組は、こうした予備知識があったほうが理解が深まりそうです。
「スラヴ語入門」には、ウクライナ語の歴史やロシア語などとの比較も掲載されています。
著者の三谷惠子教授は、この本の出版後、東大教授をされていましたが、2022年1 月に亡くなられたとのこと。
書誌情報
スラヴ語入門
著者 三谷恵子
出版社 三省堂
発売日 2011年08月
発行形態 単行本
ページ数 200p
ISBN 9784385364667
ウクライナ語で叫びたい 再放送予定
5月21日(土)
午前2:05〜午前2:50(45分) 総合(011)
「わたしの国が戦場になった」日本在住ウクライナ人ディレクターによるセルフドキュメント。ウクライナ人であり、ロシア語で育った自分。侵攻前後の葛藤の記録。