好きなことを知っている人は、しあわせ

好きなことを知れば幸せになれる。好きなことが分からないと幸せになるのは難しい    

本当に良い医者と病院の見抜き方、教えます。( 大塚篤司)


 

 


医師患者コミュニケーションや医療情報に関する本。
ちょっと書評を書きづらいタイプの本です。

 

その理由をあえて言葉にするなら

9割の人は素直に納得するものの、1割ぐらいの人は違和感を持ちそう。
そして1割の人が持つ違和感に、大切なものが含まれていそう。

そんな1冊です。

 

第1章で、発達障害的な医師と患者とのトラブルについて書いています。この部分に関して、敏感な問題を主観的に論じているという批判はあり得ると思います。お医者さんの関心の持ち方としては、少し屈折しているような気もします。

 

エビデンス(科学的な証拠、データ)に関して、非常に高いレベル(確実性)が求められる治療法(薬の選択など)。一方、素人には非常に科学的に見える、病理学や基礎医学の議論では、治療法を選ぶときほど、高いエビデンス(確実性)は求められていないようです。そして、ほとんどエビデンスを収集できない医療コミュニケーションの世界。これらは対象の性質が違うので、どの程度科学的に議論できるかも異なる。これは当たり前のことなのかもしれませんが、違和感を持つ人もいるでしょう。

 

アトピー性皮膚炎に関しても薬の有効性に関しては十分検証されていても、寄生虫の話から、アトピー性皮膚炎が、「ほぼ分かっている病気」のように説明するのは反発を招きかねないというか。一番もっともらしいストーリーではあっても、正しいストーリーと言えるのかと言う問題も。

 

結局、9割の人は、著者の意図通り、「お医者さんと病院選びに参考になる役立つ情報を得た」と好意的に評価しそうです。しかし1割ぐらいの人は「科学的な正しさ」という迷宮、深い沼に、はまってしまいそう。実用的な目的なら、もっと無難な本がありそうという気もします。

 

最後に、さらに毒舌を
立派な肩書なのに、少し脇の甘い内容と思っていたら、著者は京都大学の准教授から近畿大学の教授に。受け取り方は人それぞれでしょうか。

 

本当に良い医者と病院の見抜き方、教えます。 患者の気持ちがわからないお医者さんに当たらないために [ 大塚篤司 ]