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免疫学の最近の成果を「対話形式の講義」で説明した本。一見ハードルが高そうなテーマですが、高校で生物を学んだ人なら無理なく読めると思います。
この本の主役は食細胞のマクロファージと好中球。タンパク質であるサイトカインやケモカインも頻繁に登場。細胞を生きたまま観察できる最新の顕微鏡や超高性能MRIも活躍(生体イメージング)。基礎研究が多いため実験用のマウスの貢献も大きい。自然免疫と言われるものも実際には複雑な働きをしていることが明らかになっていきます。
印象的だったテーマを箇条書きにしてみます。
免疫記憶のメカニズム
脳に免疫細胞は入れるの?
虫垂(俗に言う盲腸)の役割
予防接種の添加物と役割
骨粗しょう症と免疫
痛風などのメタボと免疫
がんと免疫
この本の裏テーマ?は、大阪大学免疫フロンティアセンターの実績を紹介し、研究資金と優秀な学生を集めるのに役立てること。著者の紹介にも「広報・研究マネージメント担当」と書かれています。(大学関係者からノーベル賞を取りたい、そのためには充分な支援が必要と言う思いも滲み出ています)他大学の研究者には、あまりふれない姿勢は、やりすぎのような気もします。しかし、それも先端研究の現実を反映しているのかもしれません。
免疫に興味のある人の知的好奇心を満たしてくれそうな1冊。