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養生訓(貝原益軒)の読みやすい現代語訳


 

 

養生訓 (いつか読んでみたかった日本の名著シリーズ) [ 貝原益軒 ]

 

 

貝原益軒の養生訓は江戸時代の健康指南書、家庭の医学的な内容です。
漢方や伝統医学の本は、漢方薬が羅列されているようなものが多いのですが、この本では一般の人向けの健康法(養生法)がメインの内容で、現代人のメタボや生活習慣病の予防、改善に役立ちそうな内容も多く含まれています。食べすぎに注意、肉の取り過ぎに注意、淡白な味付けが良いなど、健康的な食習慣の重要性を繰り返し述べています。

 

 貝原益軒は臨床医ではなく、儒者で。本草学者(薬学研究者)。漢方の古典に関する知識が豊富で、現代では基礎医学研究者のような立場。

そのため医者が患者をどう治療するかと言う視点ではなく、なるべく医者にかからないためには、日ごろから何をすべきかと言う予防医学の立場で書かれています。

 

また良い医者の選び方にも、詳しく言及しています。当時は内科が中心で(鍼と灸を除くと)外科的な治療が発達していなかったこともあり、知識が豊富で、よく勉強している医者を良い医者としています。(ある意味単純明快な感じもします)

 

 


後半は現代で言う漢方に関する記述も多く、現代の漢方医学に親しんでいる人には、現代の漢方医学と比較してみると面白いかもしれません。

 

漢方医学に関する記述も一般の人向けに分りやすく書かれています。

 

まだ日本漢方と中医学の違いを、それほど意識せず、中国の医学を日本人の体質や日本の気候、風土に合わせて修正すれば良いと、ある意味、単純に考えていた時代。


診察法と言うと脈診が基本のようで舌診や腹診には言及されていません。


また今では漢方薬は食前に飲むというのがルールのようになっていますが、当時は、まだ定着していなかったようです。


現代でも日本の薬剤師さんの多くが甘草の取り過ぎに注意を払って、お薬手帳をチェックしたりしていますが、養生訓にも甘草の取り過ぎを戒める内容が出てきます。


医学書を列挙した章もありますが、現代では有名な傷寒論や医心方が載っていません。

 

 

 

この本の表紙には「187分で読めます」と書いてありますが、比較的大きな活字とは言え350ページ以上あり、実際には、もっと読み応えのある本という印象です。自分とは無関係の他人事と思って読めば、すぐに読み終わってしまうかもしれませんが、自分の健康と直接関わる内容であり、また現代とは異なる儒教的な考えも所どころに出てくるので、気になり始めると結構時間がかかりそうです。

 

普通のビジネス書と違って、じっくり味わって読むのが良い医学読み物だと思います。

養生訓 (いつか読んでみたかった日本の名著シリーズ) [ 貝原益軒 ]