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競争しない競争戦略改訂版 山田英夫


 

競争しない競争戦略 改訂版 環境激変下で生き残る3つの選択 [ 山田 英夫 ]

 

電子版あり

 

「競争しない状態」は偶然得られるものではなくて、戦略を立てて獲得するもの。
そんな主張に「目から鱗が落ちる」思いをしたのが、早稲田大学ビジネススクール田英夫教授の「競争しない競争戦略」。
昨年秋(2021年10月)に改訂版が出版されたので、改訂版を読んでみました。


基本的な構成、骨格に当たる部分では、改訂版も初版を踏襲しています。
競争しない競争戦略として、ニッチ戦略、不協和戦略、協調戦略を解説している点も、初版と同じです。


しかし改訂版では、初版と比べて100ページ以上、ページが増えています。手に取っただけで、明らかに分厚くなっていることが分かります。(初版245ページに対して、改訂版は352ページ)


紹介されている企業の数も大幅に増えています。
経済ニュースやテレビの経済番組、テレビCMで、お馴染みの企業が多数追加されています。(ガリガリ君赤城乳業シウマイ弁当崎陽軒漢方薬ツムラなど)
ユニークな例としては、歌手の山下達郎を、メディアへの露出を極端に控えている「限定量ニッチ」として紹介しています。
その一方で、海外の事例など、初版で紹介されていた企業の一部は、改訂版では別の企業に差し替えてあります。


 また、環境が激変して「競争しない競争戦略」が賞味期限切れになってしまったケースも紹介しています。(紙の時刻表など)


 3つの戦略の内、ニッチ戦略と協調戦略に関しては、初版と改訂版では、それほど印象に違いはありません。
しかし不協和戦略に関しては、もはや「競争しない競争戦略」と言うよりも、「相手の弱点を責める高度な競争戦略」という気がします。
改訂版では、不協和戦略の章に、ソニーがたびたび登場します(ソニー損保も含む)。 ウォークマンがアップル社のiPodに敗れたソニーは、その後、色々な分野で不協和戦略を多用しています。(一眼レフカメラを得意とするキャノン、ニコンに対して、性能が劣ると思われていたミラーレスカメラで勝負するなど)


 ニッチ戦略は個人での起業や小規模な作業所で扱う内容を考えるのに役立ちそうです。(ブログの内容を考える時にも応用できるかもしれません)。一方、不協和戦略や協調戦略は、どちらかというと大企業やベンチャー企業の経営戦略を理解するのに役立ちそうな内容です。

 

 競争しない競争戦略 改訂版 環境激変下で生き残る3つの選択 [ 山田 英夫 ]