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死なないやつら 長沼毅


 

死なないやつら 極限から考える「生命とは何か」 (ブルーバックス) [ 長沼毅 ]

 

この本の著者は不名誉なことでニュースになってしまいましたが、そのことは知らずに、たまたま図書館で見かけて借りてきました。

 

前半は、タイトルの通り、高温でも深海でも酸素が無くても死なない極限環境に生きる微生物の話。世界中を飛び回り、南極や深海でも調査を行い、「日本のインディジョーンズ」とも呼ばれた著者自身の経験や発見を振り返りながら、驚異の微生物達を紹介していきます。

 

後半は極限生物の話をふまえながら、生物の進化、生物の起源、さらには「生物とは何か?」と言う問いを考えて行きます。進化に関しては、ダーウィンの進化論に遺伝子の要素を取り入れたネオ・ダーウィニズムの考え方を紹介しています。ペンギンやキリンの長い首、亀の甲羅と言った馴染み深い例を使って、「用不用説」のような素朴で現在では否定されている考え方と現代の進化論の違いを理解していきます。また極限環境の生物に関する話を読んだ後だと、進化が、いかに偶然に左右されるのかが自然と理解できるようになっています。さらに微生物を含む生き物同士の共生、寄生、一体化が生き物の進化に大きな影響を与えてきたことも具体例をあげて説明されています。また現存する生命の系統は1つしかないこと、現存する人類の系統も1つしかないことが紹介されています。
 
 そしてシュレーディンガーの「生命とは、負のエントロピーを食う」という考えを考察しながら、「生命とは何か」について考えています。

 

本書の最後を飾るのは生物の起源に関する考察。著者の長沼毅は、現在、有力視されている熱水噴出孔起源説に疑問を持ち、地球上の生命は彗星由来かもしれないと考えています。

 

個人的には所々に出てくる脱線気味の話も面白かったです。

 

生物に関する予備知識が全くない人には少し難しそうです。逆に、生物学に詳しい人にとっては、もっと厳密な説明をしている本を読めばよいのかもしれません。
しかし、高校で生物をやるにはやったものの、うろ覚えの自分にとっては、テンポ良く読めて分りやすく興味深い内容でした。

死なないやつら 極限から考える「生命とは何か」 (ブルーバックス) [ 長沼毅 ]