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(電子版もあります)
乳酸菌を初めとする腸内細菌に関する科学読み物。
ヘルシストは、株式会社ヤクルト本社が発行する健康情報誌。(編著者に、ヤクルトが入っていたほうが分かり易い気もしますが)
かつては感染症の原因になる病原性微生物の研究が中心。一方、最近では腸内フローラとか腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)と言われる腸内の環境そのものに対する関心が高まっています(腸内フローラとは腸内の微生物生態系、微生物群集を表す用語)
そして腸内フローラに影響を与えると期待されているのが乳酸菌。特にヤクルトは
発売当初から活きたまま腸に届く乳酸菌を使用してきた伝統があるので、特に効果的。こんなに乱暴ではないですが、大雑把に言うと、こんな感じの内容です。
とは言え乳酸菌に関する興味深い研究が色々と紹介されています。
乳酸菌、宇宙へ行くというタイトルは国際宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士が乳酸菌飲料を飲むことで、腸内細菌と免疫にどのような影響があるのかを調べる研究から。
腸内細菌の研究は糞便の中の細菌を分析したり、無菌状態のマウスに他のマウスの腸内細菌を移植したりと、非常に泥臭い研究を膨大な量、積み重ねて進歩してきたこと。
大腸にいる乳酸菌の多くは酸素に触れると死んでしまうため培養自体が大変なこと。
ヤクルト創業者である代田稔博士は胃酸などでは死なない乳酸菌の培養に成功して(乳酸菌 シロタ株)、ヤクルトとして商品化したこと。
ヤクルトを飲んで大腸に届いた乳酸菌 シロタ株も、ずっと大腸に住み着くことは出来ずに、1週間ほどで便とともに排出されてしまうこと。(ヤクルトは飲み続けないと一時的に変化した腸内細菌は元に戻ってしまう)
赤ちゃんは出産の時に母親の細菌を受け継ぎ、母乳で免疫関連の物質(IgA抗体)をもらうこと。
アトピーに関する項目では、便秘が皮膚病を悪化させるメカニズムに関する研究も。
他にも乳酸菌と免疫、脳、肥満や風邪などに関する研究が色々と紹介されています。
読む人の立場によって評価が分かれそうな内容ですが、読み易い文章で個人的には興味深く読めました。