好きなことを知っている人は、しあわせ

好きなことを知れば幸せになれる。好きなことが分からないと幸せになるのは難しい    

ママはテンパリスト 東村アキコ


 

 

育児エッセイ漫画のロングセラー。言葉を覚え始めた男の子「ごっちゃん」との悲喜こもごもの日々を描いています。(全4巻)

 

時には憎たらしく、ママを振り回す「ごっちゃん」

 

ごっちゃんにテンパりながらも育児と漫画家をなんとか両立させているママ(作者本人)

 

保育園に受かったママたちは大忙し。
(作者は漫画家なので、時間的には比較的余裕があるようにも見えますが)

 

パパは、ほとんど家にいないのに「ごっちゃん」とは仲良し

 

 

ハウツー的な内容ではなくて笑いながら読んで気持ちが楽になりそうな育児マンガ

 

 

以下は、内容とは関係ない余談です

この本は図書館の新着コーナーに置かれていました。私自身は「ママはテンパリスト」と言うマンガを知らなかったので、新刊だと思って手に取りました。しかし最後のページを見ると出版は2008年。10年近く前の本です。最近の図書館では、新しく本を購入すると古い本は、どんどん廃棄してます。(普通の公立図書館の場合)4年目ぐらいから廃棄される本が出始めて、10年間生き残る本は、それほど多くありません。

 

そんな中、10年目にして新規購入。

 

図書館の蔵書検索で調べてみると、既に1冊あるのですが、2冊目購入となったようです。図書館の場合、人気があるからと言って追加購入すべきかは難しいところです。しかし赤ちゃんは待ってくれないので、役に立つ本ならありかなと思います。

 

ママはテンパリスト(1) [ 東村アキコ ]

はじめての漢方医学 入江祥史

 


 

日本の現状に即して書かれている漢方の入門書。現実主義的な漢方入門。

 

私は、長い間漢方薬を服用してきたこともあって、(新見正則先生のモダンカンポウシリーズ以外にも)漢方の入門書を読んでみたいと思っていました。しかし、現代の普通の科学とは異なる漢方の理論や、漢方薬の羅列のため多くの本は途中で挫折してしまいました。この本も一度は途中で挫折したのですが、漢方の本の中では、かなり読みやすかったので、あらためて読んでみました。今回は一応最後まで読めました。

 

漢方の本は、普通、歴史とか理論、漢方薬の解説が中心です。しかし、この本では、あくまでも「現代の日本で行われている普通の漢方治療」を中心に解説されています。(出版から10年近くたって、一部の内容は古くなっていますが、日本における漢方の位置づけは、それほど変化していないと思います)

 

具体的に言うと、西洋医学に基づく医師免許または薬剤師免許を持つ人が、西洋医学の補完医療として行う漢方治療です。(薬剤師さんの場合は厳密には漢方相談ですが)全編、西洋医学とのバランス、役割分担を強く意識して書かれています。著者の立場に賛同できる人にとっては出版から10年近く経った今でも非常に良い入門書だと思います。一方、そんな漢方には満足できないという立場の人は、もっと専門的な、ディープな本を評価すると思います。

 

舌診、腹診、脈診と言った診断法、漢方の煎じ薬とエキス製剤の違いと言った基礎の基礎から説明されています。また漢方での問診を再現したやりとりも豊富に収録されていて、初心者には分かり易いと思います。

 

最近話題の腸内細菌についても、漢方による体質改善の可能性との関連で説明されています。当時は無菌状態のマウスに別のマウスのフンを食べさせる動物実験の段階だったそうです。現在では、人間での便移植も可能になったので、西洋医学は急速に進歩しているということも実感しました。

 

はじめての漢方医学 漢方治療と漢方薬のはなし [ 入江祥史 ]

 

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日高敏隆 世界を、こんなふうに見てごらん


 

 

著者は動物行動学者。晩年の連載と講演を収録したエッセイ集。

個人的には、かなり前に、なんとなく見ていた放送大学の番組に出演したのを覚えています。お喋りが上手く面白い先生という印象でした。(本文中にも、自分は話が面白い人と評価されていて、出版関係の賞をもらったりするが、学会からは評価されないと言ったことが書かれています)

 

この本も非常に読みやすい科学エッセイです。アマゾンのレビューに中学生の読書用に読ませた話が載っていましたが、一人で読むなら中学生から、先生が授業で使うなら小学生から読めそうな内容です。

 

「なぜ」を問い続けること
観察は大切
体験も大切
理屈に騙されるな
1つのことにしがみつくべきではない
人と直接会うことが大切
人間の力を過大評価しても過小評価してもいけない

 

箇条書きにすると教訓じみたこと並べたようになってしまいますが、実際には、柔軟なものの見方、バランスの取れた思考の大切を説いた内容です。具体例として、動物、特に蝶などの昆虫の話が色々出てきます。(蝶のメスとオスは人間には区別できないが、蝶は紫外線も見えるから雌雄を区別できると言う話など)

 

最後に収録されている講演では、幽霊とはイマジネーション(想像力)欠如の産物であると、ユニークな方法で科学的な思考の大切さを説いています。(上手く説明できないことがある時に、短絡的に幽霊のせいにしてしまうのが人間)これは自然科学だけでなく、政治とか経済を考える時にも教訓になりそうです。

 

いかにも昭和の科学者と言う雰囲気のエッセイ。平成、特に21世紀になってから見失ってしまったものを考える「きっかけ」にもなりそうです。

 

世界を、こんなふうに見てごらん (集英社文庫) [ 日高敏隆 ]

漢方薬キャラクター図鑑 新見正則 監修

 


 

風邪やインフルエンザなどの感染症になったら、フル回転をするのが「からだの免疫」。免疫を漢方薬で応援しようと言うわけで、今回は「漢方薬キャラクター図鑑」です。

 

監修者はテレビでもお馴染み、イグノーベル賞を受賞した新見正則先生。

 

左側のページに擬人化された漢方薬のキャラクター、右側のページに解説文と言う構成で、代表的な漢方薬について解説しています。

 

今回も本当に子ども向けの本なのか、漢方を全く勉強しないまま看護師さんや登録販売者になった人のために書かれた本なのか微妙な内容です。

 

もし子どもに買い与えるなら、生薬の写真が載っている漢方図鑑などと一緒のほうが、漢方薬について理解しやすいと思います。

 

一方、仕事で漢方が必要な人は、漢方図鑑などは必要ないでしょうから、この本を眺めておくだけでも役に立つかもしれません。

 

 

個人的にはキャラクター図鑑シリーズのキャラクターの中で、漢方キャラクターが一番好きです。

 

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)は、骨だけになった恐竜が人間の夢を食べる・・・精神に働きかける薬の効用が上手く表現されています。

 

青竜湯(しょうせいりゅうとう)は、中国神話の青い竜から

 

黄連解毒湯(おうれんげどくとう)は、うちわで熱を冷ます。(高血圧や、のぼせ、湿疹などに伴う熱を冷まします)

 

一方、風邪に効く葛根湯のキャラは37.8度の体温計を持っており、インフルエンザに効くと言われる麻黄湯(まおうとう)のキャラは全身真っ赤になって、体温計は38.6度になっています。

 

このシリーズの他の本と比べて、キャラクターと解説内容が、上手く、かみ合っていると思います。

 

漢方薬に関する、ざっくりとしたイメージをつかむには良さそうです。

 

自分にぴったりの薬が見つかる! 漢方薬キャラクター図鑑 自分にぴったりの薬が見つかる! [ 新見正則 ]

からだの免疫キャラクター図鑑 岡田晴恵監修

 


 

前回の「感染症キャラクター図鑑」に引き続き、今回もキャラクター図鑑シリーズの1冊「からだの免疫キャラクター図鑑」です。


2冊を続けて読んでみると、免疫キャラクター図鑑のほうが、かなり難しそうです。感染症の場合は、小学生でも身近に経験する出来事です。しかし免疫の場合は、あくまでも免疫学、生物学の一分野として説明する必要があり、日常の経験だけを頼りにしては先に進めません。

 

また感染症の場合、基本的に1種類の病原体(細菌やウイルスなど)が人間を襲うわけで、理屈の上では比較的単純です。(何種類もの細菌やウイルスが編隊を組んで人間を襲うような病気は普通ありません)

 

一方、免疫の場合は色々な種類の細胞が協力して、病原体と言う敵を撃退します。このプロセスは非常に興味深く、最近では「働く細胞」というマンガにもなっています。しかし、このプロセスを、いきなり子ども達に理解させようとしても無茶でしょう。そんなわけで、この本は普通の小学生にとっては難しそうです。(マンガ「働く細胞」が好きな子なら楽しめるかもしれません)

 

その一方で、T細胞やB細胞、サイトカイン、インターフェロンヒスタミンと言った基本的な専門用語が分りやすく説明されているので、医療・看護系の学生さんなどで、免疫学は難しいと思っている人には役立ちそうです。(特に、高校時代に生物を全く勉強しなかったけど、今から全部学習する余裕が無い人には役立ちそう)

 

結論としては、書店や図書館の児童書のコーナーに置かれるよりも、「世界一分かり易い免疫学」みたいなタイトルで医学書や看護の本のコーナーに置かれたほうが合っていると思います。(出版社としては、学校図書館看護学生の両方に買ってもらえて商売繁盛なのかもしれません)

 

次回も引き続き、キャラクター図鑑シリーズから「漢方薬キャラクター図鑑」を紹介する予定です。

 

病気をふせぐしくみがよくわかる! からだの免疫キャラクター図鑑 [ 岡田晴恵 ]

感染症キャラクター図鑑


 

子どもだけでなく大人が読んでも役に立つキャラクター図鑑シリーズ。
感染症キャラクターが、こっそり予防法や治療法を教えてあげる」というユーモラスな設定。

 

この本の特徴は、微生物キャラクター図鑑ではなくて、感染症キャラクター図鑑である点。微生物は子どもだけでなく一般の大人にも馴染みが薄いのが現実。一方、感染症は本人、家族、学校の友だちなどが感染することが多く、非常に身近な存在です。また感染症をテーマとした場合、細菌やウイルスの話だけでなく、感染の仕方、予防法、予防接種、治療法と話を広げることも出来ます。そんなわけで、普通の人にとっては微生物の話よりも感染症の話のほうが理解しやすいと思います。

 

この本で紹介されている感染症は、インフルエンザ、風疹、みずぼうそう、結核手足口病など常識で知っておきたいものばかり。難しい理屈は分らなくても、主な症状と予防法は、しっかり頭に入るように書かれています(小学生向けに企画されたシリーズなので、全ての漢字に平仮名がふってあります)

 

医学や生物学に興味のある小学生だけでなく、医学について常識的な知識を得たい人、生物学が苦手で、とにかく易しい本から始めたい人にも役立つと思います。

 

気になるあの病気から自分を守る! 感染症キャラクター図鑑 気になるあの病気から自分を守る! [ 岡田晴恵 ]

 

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タイトルは微生物学ですが、感染症の解説が中心なので読みやすくなっています。大人が「感染症キャラクター図鑑」の次に読むのに良さそうです。

 

社会への出かた 就職・学び・自分さがし (白井利明)


 

 


若者がスムーズに社会に出るためには、何が必要かを論じた本。

 

著者の専門は青年心理学。この本を読んだ印象では純粋な心理学と言うよりは社会心理学社会学に近い研究を行っているようです。

 

著者は「若者が悪い論」に対して、企業の変化が主な原因であるとデータを基に反論しています。結論から言うと企業側が正社員を減らした上で、欺瞞的な説明を行ってきたというもの。

 

コミュニケーション能力重視と言うのも最近の企業側の事情を反映しているだけで、本当に大切なものは別の部分にあるというのが著者の考え。

 

こういう内容だと思うのですが、アンケート結果の解釈とか、関係者へのインタビューとか、著者独特の少しくせのある文章で、読んでいて少し疲れました。
(平気な人は平気でしょうが、読む人を選ぶタイプの本かもしれません)

 

著者の考えでは、若者が社会に出るのを支援するのに大切なのは「社会への信頼感」を育てること。家族や学校での友達は信頼しても、それ以外の大人たちへの信頼が無いまま就職活動を迎え、就職活動に失敗した時や社会人経験の浅い時期に、社会に対する不信感を抱くことが問題だとしています。

 

青年も親も学校も目先の損得だけにとらわれるのではなくて、一時的に失敗しても立ち直っていけるような、若者と社会の相互理解、信頼関係を築いて行くべきという考えです。(そのためには労働組合のような組織も重要)

 

あまり景気の悪い時に読むとイライラするかもしれませんが、比較的景気の良い時に、ゆっくり読んで見ると色々なヒントに気づける本かもしれません。

 

◆◆社会への出かた 就職・学び・自分さがし / 白井利明/著 / 新日本出版社