障害者のリアルに迫る東大ゼミ(Eテレ ハートネットTV)
障害者を講師に招いて行われている東京大学の自主ゼミ。(完全な自主ゼミではなくて大学から支援を受けてるようにも見えますが、そこは本題とは関係ないのでスルー)
そのゼミを紹介する番組。
ALSの人、障害者の性について語る障害者、こうした人と交渉して、事前の打ち合わせをして、ゼミを行う学生達。
2月1日午後1時5分から再放送もありますし、ホームページにも詳細な内容が紹介されているので、興味のある方はご覧下さい。
以下は、私の勝手な感想です。
私は、あまり素直な性格ではないので、東大生(特に女子学生のTさん)の当惑した表情を見せたい(消費したい)感動ポルノみたいな番組だなと思いつつ、なぜか気になって録画を繰り返し見てしまいました。
この番組で印象的なのは(番組制作者が注目したのは)、理学部3年の女子学生Tさん。成績優秀な秀才が集まる東京大学に入学して自信を喪失気味。「障害者の話を聞いて当惑する東大生」が見たいと言う制作者(と一部の視聴者)の期待通りの表情をしてくれます。
Tさんは歯列矯正をしていて、喋ったり笑ったりすると歯に器具を装着しているのが見えます。番組を見ていて思ったのは、Tさんにとっては歯並びも何かの障害になると思ったから矯正しているんじゃないかな、と言うこと。
ALSのゼミ、障害者の性がテーマのゼミ、盲聾の福嶋教授のゼミ。この後、Tさんによる歯列矯正の体験を話すゼミがあったら、どうなるのかなと言う妄想。
なぜ矯正しようと思ったのか?
就職を意識して?恋愛のこと考えた?普段の人間関係と関係あるの?
家族や友人の反応は?
もし恋人が反対したら止めてた?
器具が見えることはどう思う?
見えないほうが良い?
初対面の人にはスルーして欲しい?関心を持ってほしい?
お笑い番組みたいに、いじっても平気?
費用は?
障害者と接することで心境に変化はあった?
障害を治せるのはいいこと?
こんな話をしたら、障害者に関心を持つ学生は、どんな反応をするのだろうか。
もっと大切な話を聞きたいと思う?何か気づくことはあるかな?
男女で違いはあるのか。親しい人と全く初対面の人で違いはあるか?
答の出ない問題と言う点では同じでも、こういう構成なら見た人の印象が、かなり変わってくるような気がします。
東京まちがいさがし(絵本)
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間違い探しをしながら東京観光をする絵本。
東京駅、浅草、スカイツリー、東京ドーム、日本武道館、渋谷、東京タワー、お台場、羽田空港を回る8854(ややこし)トラベル
見開き2ページの左側に正しいイラスト、右側には7個から15個の間違いがあるイラスト。
大判の絵本で、細部まで書き込まれたイラスト。文字では伝わりづらいのですが、絵には迫力があり、全部の間違いを探すのは意外と大変です。
ある人は、この本を「(大人にとっても)究極の暇つぶし」と言っていました。
東京の町並みが正確に再現されているので、大人でも違和感なく楽しめそうです。
大きすぎて新幹線や飛行機、バスでの移動中には、やりづらいのが欠点ですが。
自分は一度に左右の絵を全部視野に入れて(本を目から20~30センチ離して)、間違いが見つからないか試してみましたが、この方法で見つけられる間違いは、1回につき、2,3ヵ所でした。
からだ事件簿(小学生向けの学習マンガ)
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からだ探偵とは体の中で起こるさまざまな事件を専門に調査する探偵である。
(裏表紙より)
黄緑色で帽子をかぶっているのが「からだ探偵」
クリーム色で正体不明な「助手くん」
この2人が、からだに関する事件を調査していきます。
例えば、歯が痛い「虫歯事件」、日焼けでヒリヒリ事件、「うんこが3日も出ない」事件など
小学生の時期に、本当に学んで欲しいのは病気に関する知識ではなくて、内臓、筋肉、骨、脳、免疫に関する基礎知識でしょう。しかし、そういった知識が何故必要なのか、実感のわかない子どももいるでしょう。そこで、本人や家族に体験した人がいそうな出来事から始めて、「体の仕組み」、基礎医学とか生物学の基礎の基礎を学べるような構成になっています。
またマンガのキャラクターや駄洒落は、思いっきり子ども向けになっています。「もっと大人向けの本が読みたい」と思ってくれれば目標達成でしょう。
大人が読めば、すぐに読み終わってしまいます。しかし第3章「事件は脳で起きている」に登場する前頭葉、視床下部、海馬、扁桃体の役割を全て理解している人は文系では少ないと思います。ガチガチの文系人間でも、このレベルから復習すれば理科が好きになるかもしれません。
楽しくわかる! 体のしくみ からだ事件簿 [ 坂井 建雄 ]
関連図書 (からだの仕組みを学ぶ子ども向けの本)
sukinakoto-happy.hatenablog.jp
すらすら読める養生訓 立川 昭二 (講談社+α文庫)
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すらすら読める養生訓 (講談社+α文庫) [ 立川 昭二 ]
江戸時代の健康指南書、貝原益軒の「養生訓」。
現代人にも役に立つ内容が多く含まれていて、300年以上読まれ続けている超ロングセラーです。
「すらすら読める養生訓」はコンパクトな文庫版。原文と現代語訳が、対訳形式で収録されています。残念ながら全文が収録されているわけではなくて、ダイジェスト版です。以前、このブログで紹介した全文訳と比較してみると収録されているのは全体の3分の1程度。しかし現代人にとって特に重要なポイントは、押さえていると思います。
具体的には、和やかな心で生活する、食べ過ぎない、味の濃いものを食べない、
適度に体を動かす、薬に頼り過ぎない、呼吸の大切さ、老後の過ごし方と言った
部分は原文と現代語訳、さらに解説も載っています。
一方、漢方薬とか鍼灸関する項目、現代では迷信と思われいるような内容は、大幅にカットされています。
原文には、振り仮名をふって、句読点も補ってあり、かなり読みやすくなっています。古文にはハードルが高いイメージがありますが、江戸時代の本と言うこともあり、大学入試の古文と比べると、かなり読みやすいと思います。
養生訓の原文には、独特のテンポがあり、読んでいて気持ちいい文章でした。
ちなみに、養生訓がベストセラーになった理由の1つは、性生活についても解説されているからとのこと。こうした事情も紹介されています。
すらすら読める養生訓 (講談社+α文庫) [ 立川 昭二 ]
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ベルギーの大学院、原書講読の教材に養生訓が使われていたエピソードが出てきます。
コサインなんて人生に関係ないと思った人のための数学のはなし
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マンガ コサインなんて人生に関係ないと思った人のための数学のはなし【電子書籍】[ タテノカズヒロ ]
生きてるだけで丸儲けは、明石家さんまの座右の銘ですが、苦手な分野の本は、最後まで読めれば「もうけもの」ぐらいの気持ちで図書館から借りてくると、色々な分野の本が楽しめると思います。自分にとっては、数学や物理、文系科目でも法律学や会計学、アラビア語などの本を、図書館から借りてくると意外と面白いこともあります。(ただ、こうしたテーマの本は中級レベルは勿論、本格的な入門書も理解できないので、結局長続きしないのですが)
そんなわけで、今回読んだのは最後まで読める数学の本「マンガ コサインなんて人生に関係ないと思った人のための数学のはなし」です。数学をテーマにしたコミックエッセイです(見開き2ページのマンガと5ページ前後の数学コラムという構成で30話収録)
素数、円周率π、虚数、タイトルにもなっているサイン、コサインのように数学の授業でやったけど、もやもやしているテーマ。暗号、インド式計算、アラビア数字とローマ数字と言った普通の授業ではやらなかったテーマ。さらには、無限とか「ゲーデルの不完全定理」と言った理解するのは難しいけれど何となく神秘的なテーマまで。よく分らない項目があっても、基本的に1話簡潔なので気にせずに次に進めます。
成人誌向きのイラストで、今数学に悩んでいる学生よりも、もう学校生活は終わったけど何となく数学が懐かしくなった人向き。
ディビッド・セイン もしもネイティブが中学英語を教えたら
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もしもネイティブが中学英語を教えたら (アスコム英語マスターシリーズ) [ ディビッド・セイン ]
このタイトルだとネイティブスピーカーによる中学生向けの授業と紛らわしいのですが、そういうタイプの本ではありません。
中学英語の教科書の例文、日本人に多い残念な英語、英語の意味とずれている日本語訳を、ネイティブが添削していくタイプの本です。
よくあるタイプの本と言ってしまえば、それまでですが・・・
この本で紹介されているのは64テーマ。
最近は英語の教科書も進歩しているのか、×印の付く完全な間違いという表現は少なくて、ニュアンスが、ややずれている△のフレーズが多くなっています。
英語のセンスがある人(語感が優れている人)は、こういう本を読まなくても、自然な英語が身に付くでしょう。真面目で試験の点数は良いけど、自分はセンスが無いなと思っている人は、こういう本で、補っていくのが良いでしょう。
自分の場合は、中学レベルの英語でも、日本語と英語を1対1で覚えているだけになってしまっていると確認できました。時制や助動詞と言った、ごく基本的な内容でも、どんな場面で使う表現なのかは、すっかり忘れていました。
異文化「共感」コミュニケーションがテーマの本
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「共感」コミュニケーション 世界のどこでも、誰とでもうまくいく [ 石川幸子 ]
書名が長いので、ブログのタイトルは異文化「共感」コミュニケーションと意訳してみました。本気で世界の人々と(もちろん日本の人々とも)良好な人間関係を築きたいと思っている人のために、著者の石川幸子(いしかわさちこ)が長年の経験から会得した秘訣を伝授しています。
ネット検索をすると同姓同名の人が出てきますが、この本の著者は東南アジアを中心とする国際関係、異文化コミュニケーションの専門家です。
異文化とのコミュニケーションに必要なもの。
それは語学力以上に、相手に共感する力。そして外国人に対する優越感や劣等感から自由になること。コミュニケーションのテクニックは、それから後の話。
本のタイトルや目次を見ると、綺麗ごととか理想論と思う人もいるかもしれません。そういう人は、最後の第5章から読むと、一見綺麗ごとのようにも見える著者の主張は、一筋縄では行かない手ごわい相手との交渉経験に裏づけられたものだと分ります。
非常に社交的で誰とでも壁を作らずに親しくなれる人、英会話が非常に得意な人を思い浮かべてみると、確かに、この本で紹介されている特徴を自然と身に付けている人が多いと思います。しかし、ほとんどが女性のような気がします。男性にとって、パワーに対する意識(お互いにマウンティングするような意識)から解放されてフラットな人間関係を作るのは難しいことかもしれません。
この本に書かれているコミュニケーションの秘訣は、日本社会とかマスメディア、民主主義の嫌な部分と裏表の関係にあるような気がします。そのため、住みやすい社会、良好な人間関係について真面目に考えたい人には参考になりそうです。一方で、極端に偏った思想に染まっている人には、見つかって欲しくない1冊という気もします。