加藤一二三 挑み続ける人生
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ひふみんこと加藤一二三九段が、単行本1冊分、語りつくしている本。定番である全盛期のエピソード、大山康晴十五世名人の思い出に加えて、現役引退前後の出来事、藤井聡太六段との対局を振り返っています。 さらにアウトデラックスなど最近のテレビ出演、芸能活動について、テレビでは自粛しているクリスチャン(カトリック教徒)としての活動についても語っています。
私は、10年以上前に、加藤九段の講演会や大盤解説会に行ったことがあるのですが、ご本人が実際に喋る雰囲気が上手く活字に再現されていると思います。バラエティ番組で司会者に制止されなかったら、こんな感じになりそうです。大山十五世名人のことを、ずっと大山さんと言っていますが、実際に大山さんと言っていたのでしょう。
ひふみんの独特の雰囲気が好きな人にとっては読んでいて楽しい本。そうでない人にとっては、単なる思い出話のように感じるかもしれません。
個人的には、ひふみんの独特のプラス思考や、マイペースなのに思いやりのある所が好きなので、こういう企画も歓迎です。
意外だったエピソード
最近の将棋のイベントでは、お父さんと子どもがお互いに「負けました」と言う練習をするとのこと。これは礼儀を教えるというよりも、お父さんが子どもに将棋で負けるようになっても、お父さんに将棋を続けて欲しいという配慮からとのこと。このエピソードに続けて、「負けました」と言うのを嫌った往年の名棋士のエピソードも紹介されています。大山康晴十五世名人は「これは負けですね」、升田幸三元名人は「これまで!」と言っていたたとのこと。