人体シアターへようこそ!(学習マンガ)
|
からだのしくみがまるごとわかる 人体シアターへようこそ! [ マリス・ウィックス ]
図書館の児童書のコーナー、前回ブログに書いた「人体キャラクター図鑑」の隣に置かれていた本です。
アメリカで出版された学習マンガを日本語に翻訳したもの。
日本語に翻訳された海外の学習マンガは時々見かけますが、正直当たり外れが大きいという印象があります。文字が多すぎたり絵に違和感があったり・・・
しかし、この「人体シアターへようこそ」は、おそらく当たりの1冊。
内容の厳密さにこだわる人なら厳しい評価をするかもしれませんが、小中学生でも最後まで読めそうな学習漫画と言う基準なら、かなり高得点を付けても良い内容だと思います。
人体シアターの主役は表紙にも載っている「ガイコツ」。この「ガイコツ」が人間の体の各部分(臓器)を紹介して行き、最後には人体が出来上がります。
この設定からも分るように、メインテーマは解剖学と生理学です。しかし微生物や免疫の話、さらには胎児の発生と基礎医学の各分野を広く浅く扱っています。
小学生向けに基礎医学の内容を1冊のマンガにまとめた感じ。
非常にテンポがよく、ちょこちょことユーモアをまじえて進行して行きます。
以下、個人的な感想
日本史や世界史、古典などの文系科目をマンガで学んだという人は多いと思いますが、生物も中学レベルぐらいまではマンガで学べそう。また日本語による学習マンガが手薄な分野では、翻訳書を利用するのも良さそう。
人体キャラクター図鑑 坂井建雄 いとうみつる
|
人体キャラクター図鑑 からだの不思議がめちゃくちゃよくわかる! [ いとうみつる ]
擬人化されたキャラクターで人体の器官(内臓などの臓器)について、基礎の基礎を学ぶ本。
見開き2ページで左側には、筋肉、皮膚、目、鼻、口、肺、心臓、肝臓、腎臓などが擬人化されたキャラクターが大きく描かれています。右側ページには解説文という構成。
小学生でも読めるように全ての漢字に振り仮名がふってあります。
とは言え説明文は結構本格的。例えば「肝臓さん」という項目には、炭水化物、ブドウ糖、グリコーゲン、血糖値と専門用語が色々出てきます。こうした内容は小学生には難しいと思います。しかし将来本格的に学習する時のハードルを下げる効果を期待して、専門用語も使っているのだと思います。
大人が読むと人体について1時間ぐらいで復習できると思います。解剖学や生理学に関連する入門書の入門、大人なら常識として知っておきたいことを再確認するのにも良いと思います。
キャラクター図鑑シリーズは、元々は学校図書館向けに企画されたようで、公立図書館では児童書のコーナーに置かれています。(いかにも子ども向けという雰囲気の図鑑などと並んで置かれています)しかし、このシリーズは紀伊国屋書店、新宿本店の医学書のコーナーにも置かれていました。子ども向けでも内容的には妥協しない良書と言えそうです。
皮ふと健康おトク情報 花川博義
|
皮ふと健康おトク情報 (あんしん健康ナビ) [ 花川博義 ]
皮膚トラブルをさけて健康な肌を保つためのコツを皮膚科専門医が解説した本。
皮膚病や皮膚トラブルには避けることができるものも少なくありません。
紫外線による皮膚の老化、水虫、低温やけど、しもやけ、ハチやブユに刺される被害。こうしたものは知識があれば、かなりの部分、防ぐことが出来ます。
またナイロンタオルでゴシゴシこするなど、皮膚に良くないことが習慣になってる人も少なくありません。入浴や靴の選び方なども皮ふの健康に関係があります。
皮膚科ではニキビや薄毛の治療も行っています。
こうした皮膚に関する知識も大切ですが、皮膚も体の一部なので、運動、栄養、睡眠と言ったことも皮ふと健康には大切です。
電車での移動時間などに気軽に読めて、知識が増える本。
最後に妙に印象に残った部分を引用しておきます。
(引用始め)
病院にセールスに来る化粧品会社の人に、売れるコツを尋ねてみると、「病院の先生が薦めるといちばん売れるんです」と正直に答えてくれました。
(引用終わり)
学びなおすと物理はおもしろい 牟田淳
|
このブログでは、生物や化学など理系関連の読み物も紹介しています。しかし、そうした本は基本的に数式を使わずに日本語で説明している本です。今回紹介する「学びなおすと物理はおもしろい」も、数式をほとんど使わずに、日本語で高校物理の各分野を復習する、学びなおすための本です。イメージ的にはEテレでやっている高校講座の物理に近い内容だと思います。
力、エネルギー、音と光、熱と温度と言った基本事項について説明したあと、進学校や理系のクラスでは問題演習(計算問題)をやると思います。一方、この本では、楽器や音階の原理、スキューバダイビングで聞こえる音、宇宙の始まり(ビッグバン)、現代物理学の話と、寄り道しながら学んでいきます。そのため試験問題は解けるようにはならなくても、挫折せずに最後まで読めました。
物理学的な内容に関しては、波と言う概念が重要なんだなと、ちょっと感心。少し前までは、光は粒子でもあり波でもあるなんて話を聞きましたが、光は基本的に波(電磁波の一種)と考える。波を理解することはミクロの世界を考える時(量子力学)でも大切。
物理や微積分を選択せずに高校を卒業してしまった人でも物理の世界に触れることが出来る便利な1冊。
生き心地の良い町 岡檀
|
生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由がある/岡檀【1000円以上送料無料】
3つ前の記事でブログに書いた「精神科医、「自殺希少地域」を行く 森川すいめい」の関連書籍。(元ネタになった研究)自殺希少地域研究の元祖です。
図書館の社会学の本棚に置かれていたため、この本の存在に気づかなかったのですが、検索してみると大きな反響を呼んだ1冊のようです。
要約的な内容は色々なサイトに出ているので、個人的に気になった点をメモしておこうと思います。
まずタイトルに「生き心地の良い町」と町がはいっていること。都市に住んでいると気づきにくいのですが、やはり極端に不便な過疎地域で暮らすのは大変と言う事を、統計データを使って第4章で示しています。
その上で、人間関係は毒にも薬にもなるもの。(運動とか栄養、免疫、微生物なんかも、人間の健康にとってプラスになることも、マイナスになることもありますが)
人を監視するのではなくて、関心を持って、ゆるやかにつながること。
女性には自然と出来る人も多いのでしょうが、男性には苦手な人が多そうです。
昨日の夕刊(1月19日 毎日新聞)に、「自殺者8年連続減」と言う記事が出ていました。死亡率の高い都道府県、低い都道府県も紹介されていました。しかし著者(岡檀)によると、都道府県別のデータでは、あまり研究の役立たないとのこと。ここら辺の事情に関しても詳しく説明されています。
この本では全く触れられていませんが、ネット上の人間関係を考える時にも参考になりそうです。
偉人と語るふしぎの化学史 松本泉 (ブルーバックス)
|
偉人と語るふしぎの化学史 化学法則が生み出されるプロセスを追体験する【電子書籍】[ 松本泉 ]
文系人間には難しい内容の多い講談社ブルーバックスシリーズ。
しかし時々、文系でも分りやすい非常に基礎的な内容の本も混ざっています。
この本はブルーバックスシリーズでは、もっとも易しいレベルの1冊。
タイトルは化学史ですが、内容的には中学で学んだ化学について、もう一度じっくり考えてみるもの。そのために、化学史上の重要人物、アリストテレスやラヴォアジエ、アヴォガドロを登場させ、ライバル達と架空の討論を行っています。
討論のテーマは3つ。
一つ目のテーマは、万物の源は何か?
(舞台は古代ギリシア、主役はアリストテレス)
水?空気?火?
それとも、水、空気、火、土の4元素?
二つ目のテーマは、燃焼とはいかなる現象か?
(1791年、フランス パリ 主役はラヴォアジエ)
フロギストン説に問題はないのか?
(ものが燃えるのは空気中の酸素と結合する現象という結論に到達するまでを討論形式で再現)
三つ目のテーマは原子説の確立
(1830年 イギリス マンチェスター 主役はアヴォガドロ)
気体に関する様々な実験が、原子説を採用すると上手く説明できることを追体験して行きます。
理科がそれほど得意でない中学生でも理解できそうな1冊。
また理科を教える先生にとっても参考になりそうです。
ビリギャル(原作本)を今さら読んでみた
|
学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話 [ 坪田信貴 ]
有村架純主演の映画にもなったビリギャル。その原作は、30文字以上ある長いタイトルで、石川恋の表紙がインパクト抜群。石川恋はドラマ警視庁いきもの係に出ていましたが、ビリギャルの写真とは別人のよう。
映画にもなっただけあって、読んでいて楽しい退屈しない本です。CMにもなった聖徳太子を「せいとくたこ」と読んだエピソード。受験当日の失敗談。要所要所で登場する「ああちゃん(母親)」
受験本としては、普通の授業でもなく、自学自習でもなく、塾の個別指導で合格した点が、大きな特徴。昔から、本当に勉強が苦手な人には家庭教師か個別指導塾が必要みたいなことを言いますが、学年ビリで偏差値30からの大学受験だと、やはり個別指導は必要なのかもしれません。本文中にも出てきますが個別指導は、お金がかかるのが難点ですが。
著者の坪田先生は、勉強を教える教師と言うよりも、心理学に詳しくスポーツのコーチみたいなタイプです。やる気を引き出したり、課題を与えたり、目標を設定するのが上手いタイプ。(うがった見方をすると、勉強法については、あまり手の内を明かしたくないようにも見えますが)
自習方法がメインではないので、高校生本人よりも、親や学校、塾の先生が読んだほうが参考になるかもしれません。特に、変な所で子どもを否定してしまうと思っている親や先生にはお勧めです。
個人的には、この子(さやかちゃん)は慶応向きかな、早稲田向きかなと考えながら読んでいました。早稲田の卒業生には、岡副麻希やにゃんこスターのアンゴラ村長(女性のほう)みたいに個性的な人も多いので早稲田向きかと思いながら読んでいました。しかしビリギャルの場合、グレてギャルになってしまい勉強しないで常識が身についていなかっただけで、大学でもギャルとして個性を伸ばしたいと思っていたわけではなさそうです。それなら慶応大学で正解かなと、読み終わって思いました。