好きなことを知っている人は、しあわせ

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精神科医、「自殺希少地域」を行く 森川すいめい


 

その島のひとたちは、ひとの話をきかない 精神科医、「自殺希少地域」を行く/森川すいめい【1000円以上送料無料】

 

日本は自殺の多い国として知られていますが、日本にも自殺の少ない地域は存在します。そんな自殺希少地域を、精神科医が訪ね、特徴をリポートしたもの。

 

岡檀(おかまゆみ)が「生き心地の良い町(講談社)」で報告している自殺希少地域の研究に触発された著者が実際に現地を取材したものです。

 

本のタイトルは、「その島のひとたちは、ひとの話をきかない」で、書店や図書館の精神医学のコーナーに、このタイトルの本があると非常に目立ちます。しかしブログの見出しにすると内容が分りにくいと思ったので、サブタイトルを見出しにしました。

 

自殺希少地域の多くは、田舎とか離島とかです。そのため、都会に住んでいる人間は癒しの島みたいなイメージを勝手に抱いています。しかし実際に行って見ると、癒しの空間ではなくて自然環境が厳しい地域が多い。そうした環境の中で、地域の人たちが課題に向き合って、課題を解決してきた地域が自殺希少地域の特徴。


課題と向き合うことで、住民同士の対話が当たり前のように行われる。地域の課題と言うと、大きな公共事業のようなものを思い浮かべるかもしれませんが、この本で紹介されているのは、住民一人、一人の困りごとのような内容。そうした困りごとを他人事と考えずに、解決していけるのが自殺の少ない地域。

 

もう一つの特徴は、田舎とか離島で、皆がお互いのことを知っているだけでなく、お互いの違いを尊重する地域であること。多少変な人がいても受け入れてしまう地域です。タイトルにある「ひとの話をきかない」と言うのは、マイペースで安易に人と同調しない島の人たちの特徴を表しています。

 

最後の章では自殺希少地域の特徴とオープンダイローグとの類似性を指摘しています。(本書には出てきませんが、べてるの家に興味のある人にも参考になりそうです)

 

本文中で、はっとしたのが新宿は高齢者を排除した町だと言う指摘。40代になり、渋谷や新宿の町を歩くと疲れるようになってきたので、確かにそうだなと思います。

 

精神医学には、こんな切り口もあったんだと感心した1冊。

 

その島のひとたちは、ひとの話をきかない 精神科医、「自殺希少地域」を行く/森川すいめい【1000円以上送料無料】