好きなことを知っている人は、しあわせ

好きなことを知れば幸せになれる。好きなことが分からないと幸せになるのは難しい    

はずむ! 「会話」の作り方  [ 望月理恵 ]


 

 

はずむ! 「会話」の作り方 [ 望月理恵 ]〜ネガティブな私が”会話の仕事”を続けられる50の方法

 


日本テレビ土曜日朝の『ズームイン!!サタデー』MCを10年以上にわたって担当している望月理恵アナウンサー(セントフォース


今までは、あまり印象に残ってなかったのですが、あらためてズームイン!!サタデーを見てみると、会話やVTRに対するリアクションが良くて女子アナには珍しい聞き上手な雰囲気。この本では聞き上手になることも含めて、「コミュニケーションが上手くなる50の方法」を紹介しています。

 

もともとポジティブな人は、意識的にコミュニケーションを改善しようと思うことは少ないので、ネガティブな人のほうが意識的にコミュニケーションを改善できると考えています。

 

望月アナが重視しているのは、発声などの細かいテクニックよりも、会話の場の雰囲気を作っていくこと。もちろん新人の頃(望月アナが「世界ふしぎ発見」のミステリーハンターをしていた頃)は正しいイントネーションや適切な話す速度の練習をして基礎を身に付けていきました。しかし、そうした細かいことにばかりこだわるのではなくて、コミュニケーションのキャッチボールが円滑に行われるように、「はずむ会話の作り方」を大切にするようになって行きました。(ズームインサタデーのMCになってからは特に)

 

まずは相手に興味、関心を持つこと、そして相手から反応があったら、それを楽しむこと。相手を変に誘導せず、自然な反応を引き出すことも大切。
言うは易く行うは難しの典型みたいなものですが、望月アナの経験に基づくコツを色々と伝授しています。

 

以下、具体例を少し

 

相手の自己開示を促す会話の始め方。
(お互いの共通点について話す、天気の話+相手の印象で話を始めるなど)

 

会話のキャッチボールを続けるコツ
(相槌、要約、オウム返しなど)

 

相手を決め付けないことはとても大切。

 

相手の聞かれたくないことを意識することも大切。

 

 

表情豊かに頷くこと以外にも色々なコツがあることが伝わってくる1冊でした。

 

はずむ! 「会話」の作り方 〜ネガティブな私が”会話の仕事”を続けられる50の方法 [ 望月理恵 ]

 

 

マンガで学ぶ感染症  岩田健太郎


 

マンガで学ぶ感染症 [ 岩田健太郎 ]


電子書籍版|マンガで学ぶ感染症 - M2PLUS

電子書籍は専門のサイトでの販売)

 


PBL (Problem based learning)=課題(症例)に基づく学習アプローチによる感染症入門。簡単に言うとドクターGのマンガ版、症例を重要な感染症に絞った基礎編のような内容になっています。wikipediaによると、ドクターGのパイロット版は2009年となっているので、この本の出版と、ほぼ同時期になります。

 

気道感染症、尿路感染、髄膜炎カテーテル感染、蜂窩織炎、感染性心内膜炎の順に、診断法と抗菌薬について基礎の基礎を学んでいきます。

 

医学部の学生で同じ講座の受講生同士のラブストーリーと言う、とって付けたようストーリー。しかも一昔前のパソコンで描きましたという感じのマンガ。最近では、この本の著者、岩田健太郎のパートナーは、「もやしもん」みたいになっていますが、この本には「もやしもん」は登場しません。マンガの部分の出来は、あまり良くありません。

 

しかしマンガの後の解説は簡潔で分かり易く書かれています。教科書的な解説だけでなく興味深いエピソードも書かれていて退屈しません。マンガの部分を寝転がって読んでいると、そのまま解説部分も読んでしまうような感じです。

 

 

著者が熱く訴えている次のようなメッセージも伝わってきました。

 

医学部では感染症に関して色々な科目で細切れに学んでいるが、感染症をテーマにした科目が必要。

 

抗菌薬(抗生物質)の乱用は厳禁。菌の絞込みが大切。

 

日本では予防接種で防げたはずの感染症が多数発生していることを深刻に受け止めるべき

 

 

同じ著者から「絵でわかる感染症 with もやしもん」と言う本も出ています。
マンガで学ぶ感染症は基礎の基礎、絵でわかる感染症は本格的に学ぶ人のための入門書と言った雰囲気です。

 

マンガで学ぶ感染症 [ 岩田健太郎 ]

 

絵でわかる感染症withもやしもん (絵でわかるシリーズ) [ 岩田健太郎 ]

 

癒しの時代をひらく 上田紀行

今週のお題「私の癒やし」

 

とりあえず「今週のお題」が更新される前に読み終わったのですが、なかなか感想を書きづらい本ですね。内容の多くは、1994年から95年にかけて 法藏館という出版社の「仏教」と言う雑誌に掲載されたもの。雑誌「仏教」1995年4月号の特集は「癒し」。200ページ以上の大特集で、河合隼雄木村敏小田晋柳澤桂子と当時、心理学や精神医学に興味を持っていた人には懐かしい顔ぶれが並んでいます。(柳澤桂子生命科学者ですが)当時、癒しについて、どんな風に理解されていたのか参考になる資料かもしれません。(雑誌の方は読んでませんが)

 

仏教 No.31  1995.4 特集=癒し


癒しの元祖、上田紀行は自分探しの着地点として癒しを考えていたようです。オウム真理教事件の前後、独りよがりの解脱(げだつ)をするのではなくて、自分と他者のつながりの中で存在全体が救済されることを癒しと考えています。

 

癒し、そのものを考察するというよりは、多重人格やアムウェイネットワークビジネス)、絵画のキャッチセールス(固有名詞は出てこないものの、ラッセンの絵画が思い浮かびました)、援助交際、宗教団体の機関紙(自己分析のワークを掲載)、尾崎豊上々颱風(シャンシャンタイフーン)などに関して、この営みは癒しに通じているのだろうかと考察しています。普通の人の場合、気持ちいいかどうかで話は終わってしまいそうですが。いちいち、これは本物の癒しにつながるのだろうかと考えるのは、上田紀行には宗教人類学というバックボーンがあるからでしょうか。

 

20年以上前の話なので、当時の記憶がある40歳以上の人には比較的分かり易い一方で、当時の記憶のない若い人には理解しにくい部分もありそうです。上田紀行には岩波新書から出ている「 生きる意味」と言う読みやすい本もあるので、今となっては、そうした本を読んで興味を持った人が読めば充分かもしれません。

 

個人的に今読んでも面白いと思ったのはアムウェイに関する考察。最近、流行りのユーチューバーやプロブロガ-と比べて類似点と相違点を考えると、本質的な癒しを考えるヒントになるかもしれません。

 

癒しの時代をひらく
発売日: 1997年03月
著者/編集: 上田紀行
出版社: 法蔵館
発行形態: 単行本
ページ数: 237p
ISBNコード: 9784831872302


生きる意味 (岩波新書
上田紀行

ISBN:9784004309314
2005年01月発売 / 岩波書店 / 新書

 

 

脱ステロイド体験を描いたエッセイ漫画


 

アトピーの夫と暮らしています [ 陽菜ひよ子 ]

電子版もあります

 

初めに、お断りさせていただきますが、私は脱ステロイドを支持する立場ではないので、立場によっては不愉快に感じる方もいるかもしれません。

 

重症のアトピー性皮膚炎である夫と、その妻(漫画の作者)が脱ステロイドを決意し、アトピーを克服していく体験談を漫画にしたものです。

 

ステロイドの人にも色々なタイプの人がいて、アトピーガイドラインを皮膚科医のように読み込んで各種治療のエビデンス(科学的な根拠)を検討したうえで、あえて脱ステロイドを選んでいる方もいます。(はてなブログにも、そういう方がいたと思うのですが、今検索しても見つかりませんでした)一方、エビデンスと言う考え方が肌に合わないというか、馴染まない人も実際には多いのだと思います。

 

この本の著者(女性漫画家)は失礼ながら明らかに後者のタイプ。思い込みが激しく、何が科学的で何が非科学的と言った判断が出来ない、本当は出来るのかもしれないけど、そういうことに興味のないタイプの人です。

 

 本人は努力して脱ステロイドが成果をあげたと思っているようですが、意地の悪い私は、主治医の漢方医が患者を上手く手のひらで転がすようにして何とか病状を改善したと思ったりします。

 

一つ前の記事にも書きましたが、漢方医の多くは脱ステロイドではないと思いますが、患者が抱えるストレスに対処するのが上手い先生は多いと思います。現代の日本では、単に病気になっただけでは漢方医を訪ねることは少なく、病気が悩みになった時に漢方を選ぶことが多いと思うので。

 

酷い言い方ですが、この漫画の夫婦は、普通の皮膚科医にとっては、儲からない、大学病院勤務の医師にとっては出世にもつながらない面倒くさい患者でしょう。そういう患者を漢方医にまかせることで、大学病院の皮膚科医は自分の専門性を活かせる患者に集中できるし、漢方医に回された(漢方医を選ぶように自然と誘導された)患者も破滅的な結末にならずに済む訳です。代替医療の存在意義を考える時に興味深いケースではないでしょうか。

 

この場合の担当医は別に漢方医ではなくても良いわけで、本当に危険な状況には適切な介入が出来てストレスと皮膚病の関係を理解している皮膚科医(開業医)や心療内科医でも良いと思います。良い悪いではなくて、そういうタイプのお医者さんが必要とされているのは事実でしょう。

 

漫画としては、それなりに面白いのですが病気への対処法としては洒落にならない部分も含まれていると思ったので厳しいことを書いてしまいました。

 

「免疫力」があなたを殺す [ 村上文崇 ]


 

「免疫力」があなたを殺す [ 村上文崇 (むらかみ ふみたか)]

 

極論っぽいタイトル、名前を聞いたこともない著者と出版社、公的な資格ではない漢方医と言う肩書きと、警戒心をかきたてる要素がそろっている1冊ですが、この本を読んで見ようと思ったのは個人的な体験が関わっています。

 

私自身、以前は毎年何回も風邪をひいていました。その時は素朴に免疫力が弱いから毎年風邪をひくのだと思っていたのですが、病院で気管支喘息と言う診断をうけ喘息の治療をすると、滅多に風邪をひかなくなったのです。つまり私が毎年風邪をひくと思っていたのは、普段から気管支がアレルギーによる炎症(気管支炎)をおこしているのが原因だったのです。そんなわけで免疫力礼賛本には不信感を抱き、免疫の負の部分を易しく解説した本を読みたかった時にタイミングよく、この本を見つけました。

 

実際に読んで見るとと、ちょっと心配していた独自理論的な内容ではなく免疫に関して、医学の予備知識がない人でも偏った理解にならないように易しく説明した内容でした。

 

免疫を軍隊や自衛隊に例え、免疫とは自国の領土内で行う戦争のようなものと考えます。(自国の領土内で戦争をすれば当然色々な被害が出ます)

 

免疫に興味を持った普通の人(私も、その中の一人)は、専門的に医学を学んだ人と異なり、炎症について理解することなく免疫の華々しい成果のみを繰り返し刷り込まれてしまいがちです。その結果、医学の常識とはかけ離れた免疫万能論者が出来上がったりします。そのため、この本では風邪やインフルエンザなどの感染症、花粉症などのアレルギー性疾患、リウマチなどの自己免疫疾患と言った身近な病気を通して炎症に関する、おおまかなイメージをつかんでいきます。そして現代人が炎症≒免疫反応をおさえる薬を有効に活用していることを説明していきます。

 

アトピーには深入りしていませんが、ステロイドの使用は肯定しています。
(漢方、中医学の立場の人たちがステロイドを肯定することで脱ステロイドの外堀を埋めていくような感じは、実際に漢方医を受診した場合にも実感しました)

 

最後に漢方の陰陽の理論を使って、免疫は、ただ強ければ良い訳ではなく、バランスが大切と説いています。

 

難しい話は苦手だけど免疫に関して常識的な知識を得たい人には役立つ内容だと思います。

 

「免疫力」があなたを殺す [ 村上文崇 ]

東大病院研修医 駆け出し女医の激闘日記 安川佳美


 

東大病院研修医 駆け出し女医の激闘日記 (中公新書ラクレ) [ 安川佳美 ]

 

前々回ブログに書いた
東大医学部 医者はこうして作られる  安川佳美
の続編です。

 

医学部卒業後(もちろん医師国家試験にも合格後)、研修医としての体験をリポートしています。

 

大昔には医師免許取得前のインターンの時期を研修医と言っていた時期もあり、
医学部卒業後、すぐに専門を決めていた時期もあるようですが、現在の制度では
研修医は色々な診療科をまわって経験をつむことが義務付けられているとのこと。

 

研修医になるころには専門分野や将来の進路を決めてる人も多いのでしょうが、
この本の著者は研修医の経験の中から専門分野を選ぶ方針だったので、大学7年生、8年生と言った感じで、実践的な経験を重ねていきます。

 

インターネット上で見つけたコラム、「現役の医師が教える!研修医病院の選び方」では、専門分野を考慮して選ぶだけでなく、実家が開業医なら、その近くの病院を選ぶとか、研修医の時から(主に地方の病院で)バリバリ稼ぐといった選択肢が説明されていますが、この本の著者は、どれとも違う病院選択をしているようです。(東大医学部出身で、東大病院にも愛着があるというのも大きかったようです)

 

研修医になると実際の病院、臨床の現場で、学部時代はあまり学ばなかった事務処理能力や実技(手技)を身に付けていきます。採血や点滴などに始まり、著者の場合、手術後の縫合もマスター。(個人差ありとのこと)

 

科によって違いはあるものの体力的に非常に厳しい夜間当直や連続勤務。

 

救急部ではドラマとは異なる本物のコードブルーも体験。

 

一時は精神科を志望していたものの挫折。(学歴や進路に関することでは、
著者にとって、はじめての挫折だったかもしれません)

 

精神科とは別の意味で精神的にきついことも多い産婦人科

 

東大卒のエリート研修医には、あまり響かなかったらしい個人医院(漢方内科クリニック)での研修

 

研修医とは言え患者の臨終にも立ち会うことになります。

 

独創的な研究にも、個人開業にも関心がなく、自分自身を高度な専門職と割り切っている著者の職業観も印象的。

 

東大病院研修医 駆け出し女医の激闘日記 (中公新書ラクレ) [ 安川佳美 ]

 

認めたくないけれど2ch(5ch) 今週のお題「私の癒やし」

今週のお題「私の癒やし」

 

癒しと言う言葉を最初に使ったのは上田紀行と言う話を思い出したので、図書館で探すと昔読んだ記憶のある「癒しの時代をひらく(上田紀行)」と言う本がありました。出版は20年以上前ですが、廃棄されることもなく保存庫送りにもならずに、普通に本棚においてありました。今週のお題は水曜日まで(木曜日更新)なので、それまでに読み終われば感想などを書いてみたいと思います。

 

ともあれ、癒しとは1980年代後半に使われだした言葉で、バブル景気の時期からバブル崩壊阪神淡路大震災オウム真理教問題が起こったあたりに、多くの日本人が抱いていた、生きづらさに対して、自分らしい生き方を取り戻す行為として注目されたようです。オウム真理教と言う、決して少なくない人々を魅了した一方で破滅的な結末を迎えた過激な処方箋に対して、多くの人が受け入れ可能で日本社会との摩擦も少ないタイプの処方箋が癒しと呼ばれていたようです。


何となく、このお題を考えた「はてなスタッフ」への嫌味みたいになってきましたが・・・

 

さて、こうした文脈で癒しを考える時、人間関係で心を癒せる人と癒せない人に大きく分かれると思います。小学校のころの記憶はありませんが、中学、高校になると休み時間や放課後などに楽しそうにお喋りをする「クラスの女子」たちの姿が印象的で今でも記憶に残っています。当時は何が楽しいんだろうと不思議に思い、そんな私の姿を気持ち悪いと思ってた人も多かったと思います。今考えると、学校の授業と言う空気を読んだ集団行動が求められる時間の後で、自分の感情を大切にする、お喋りで心を癒していたと言えるでしょう。こうした経験を重ねる中で一部の人は、自分の心を癒すコツ、相手の心を癒すコツみたいなものを会得、体得していくのだと思います。

 

相手(話を聞いている人)に、それほど負担をかけずに自分の心を癒す方法。
例えば毒舌(悪口)のさじ加減など

 

ちょうど良い話し相手の見つけ方や人間関係を維持する方法など

 

一方話し相手にされる人(聞き手)の場合は、適度に聞き流す方法を学んでいくのでしょう。相手は討論したいわけではなく、ストレス解消の癒しを求めていると、男子には理解しにくいけど多くの女子には当然とも言えることを学んでいくのでしょう。聞き役ばかりやらされる人は、無理に心を癒すよりも体を癒すことで回復する方法を学んでいくのだと思います。

 

こうした癒しのガールズトークとも言える様な営みがある一方、そうしたものが苦手な人も多くいます。私も苦手な人間の一人。少数派と多数派で言えば、多数派なのかもしれません。

 

そんな私の癒しは認めたくはないのですが2ch(現在の5ch)
色々なSNSが登場した現在、2chの一番の特徴は、いいねボタンがないこと。
プラスとかマイナスのボタンもありません。感想はボタンを押すのではなくて文字で書き込まなければいけません。

 

また現在でも匿名掲示板なのも貴重です。かつての何を書いても逮捕されないと言う無法地帯ではなく、法律を犯さない限り匿名という状態は、ある程度の秩序と程よい自由さをもたらすと思います。

 

頭のおかしい人間と比較的まともな人間が同じ場(バーチャルな空間ですが)に共存しているのも現実社会に似ていて良いと最近では思います(かつては、本当に頭のおかしい人に粘着されたこともありましたが)

 

2chには誰かの受け売りの極端な思想に染まった人たちが群れをなしている場所と言うイメージがあり、実際そういう場所も多くあると思います。


しかし、その一方で、まったりとお喋りできる場所もあったりします。匿名だし、いいねもつかないので、自分の気持ちに正直になれるような気がします。


そういう場所は癒しの場と認めても良いと思います。頭のおかしい人が群れをなす場所は嫌ですが、変な人でも居心地が良くて居ついてしまう場所は悪くないと思います。そんな場所で「癒しのおじさんトーク」が繰り広げられてるので、今では時代遅れみたいになっている匿名掲示板には、おじさんたちの隠れ家として地味に続いて欲しいと思います。