先日、「せわしない(忙しない)」は、なんで最後に「ない」が付いているんだろうと思って、辞書を引いてみました。すると、「ない」は甚だしいの意(広辞苑)、「ない」は意味を強める接尾語(デジタル大辞泉)と載っていました。忙しない(せわしない)は、忙しい(せわしい)を強調した形だったのです。ただし、実際には、忙しい(せわしい、いそがしい)と、ほとんど同じ意味で使うようです。
私は「甚だしい」の意味の接尾語「ない」を知らなかったので、非常に驚きました。まさに盲点のような単語です。
辞書には、せわしないの他に、次のような例が載っていました。
あどけない
苛ない(いらない)
うしろめたない
切ない
はしたない
この中で、苛ない(いらない)、うしろめたないは、関西出身の芸人が使う方言のように思っていました。しかし標準語として辞書に載っていました。(見出し語には、なっていないかもしれません)
あどけないは、無邪気であると言う意味ですが、語源は、はっきりしないようです。
はしたないは、本来は、中途半端と言う意味。
無作法とか、みっともないと言う意味に。
ちなみに、「みっともない」は、「みたくもない」が何段階か変化したもので、一般的な意味の「ない」とのこと。
半端ない(はんぱない)、半端ではないだと、反対の意味に。
切ない
精選版 日本国語大辞典には、室町時代の用例で「非常に親切である」という意味を載せています。
お馴染みの単語でも改めて辞書を引いてみると、新しい発見があって、面白いなと思いました。
使用辞書
広辞苑第6版(一つ前の版)
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