好きなことを知っている人は、しあわせ

好きなことを知れば幸せになれる。好きなことが分からないと幸せになるのは難しい    

声優をプロデュース。 納谷 僚介  なやりょうすけ


 

 

声優のマネージャー、声優事務所のお仕事について、現場での経験が豊富な著者が一般の人向けに語ったもの。

 

芸能事務所のお仕事は、当たりそうな「くじ」を所属タレントに斡旋すること。
(仕事そのものを斡旋するというよりは仕事を得るチャンスを与えること。)
この点では声優事務所も、普通の芸能事務所も同じです。しかし、声優の場合は、人間としてのバランスが悪く、いびつな才能を持った人が多い。それが、アニメの魅力とは別に声優の魅力、声優業界の魅力の源泉になっています。そのため、いびつな部分を矯正するのではなくて、マネージャーが入ることで「上手く社会と噛ませる(噛みあわせる)」ことが声優のマネージャー、声優事務所の役割です。

 

普通の芸能事務所ならタレントを売り込めば良いのかもしれません。しかし声優事務所の場合は、声優の魅力を高めること、声優には魅力的な人生を歩んでいる人が多いというイメージ作りが大切になってきます。

 

いびつな才能を大切にしつつ、なんにでも挑戦できる。人間として芯とか軸になるものを持ちつつ、長い間エンタメの世界で活躍している。人間には足りないところがあっても飛びぬけた才能があれば何不自由なく生きていける。(苦手な部分は信頼できる人がサポートしてくれる。)そんな物語、ドラマ、サクセスストリーを描き続けることが、声優事務所の役割。そのために声優を全力でサポートするのが著者が考える理想の声優事務所です。
(そういう世界だから、仕事量をはるかに上回る志望者が殺到するわけで、本人はともかく、親や学校の先生を悩ませるわけですが)

 

声優とマネージャーが両極端な仕事として対照的に描かれてる点も、仕事とか適性を考える時に参考になるかもしれません。

 

声優と言う仕事の独自性、俳優(女優)や歌手、アイドルとの違いが、普段アニメを見ない人(学校の先生など)にも、感覚的に伝わるような内容だと思います。アニメが好きというのと、声優になりたい、声優が好きと言うのは別物だと分るだけでも、学校の先生や親世代にとっては有意義だと思います。

 

蛇足
外画という単語を初めて見ました。
「がいが」と読んで外国映画という意味。
声優業界では広く使われている業界用語のようです。

声優をプロデュース。 (星海社新書) [ 納谷 僚介 ]