Eテレで放送されているNHK高校講座ベーシックサイエンス。
年間40回で科学の基礎を学ぶシリーズ。
担当は川村康文先生(東京理科大学教授)。
漫才コンビの田畑藤本は、今回は、ちょっとだけの出演。
今回のテーマは「パンのようなものを作ろう!」
普通の人は、敢えて「パンのようなもの」を作ろうとは、なかなか思わないような気がします。(屁理屈とは思いますが、食品サンプルを作る時ぐらいではないでしょうか。)
公式サイトを見ると「パンのようなもの」という表現が9回も使われています。
しかし完全に徹底されているわけではなくて、「電気でパンを作ろう」とか、
「調理器具を使わずにパンを完成させました」、「パンを切り分けて、みんなでおいしく食べました。」と言った表現もあります。
なぜ、「パンのようなもの」と言っているのか、番組中では特に説明はありません。この番組を最初に見た時は不思議でした。(この講座は再放送です)
今回、番組で作ったのは、一般的には電気パンと呼ばれているもの。パン生地に電流を流すことで、パン(のようなもの)を作ります。終戦直後には、今回の放送と似たような方法で、電気パンを作っていたとのこと。理科の実験として作る場合は、通常、発酵させずに重曹を使います。一般的な食品の分類では、パンではなくて蒸しパンになります。
結局、「蒸しパンはパンじゃない?」問題に行き着きます。
一般的なパンの定義では、酵母を使って生地を発酵させることがパンの条件になります。そのため蒸しパンや電気パンは、「パンのようなもの」と言うのが非の打ち所のない正しい日本語になります。
それでは、今回のやり方では、「本物のパン」は作れないのでしょうか?
パン粉は、電流を流す方法でも作られているようです。「パン粉 作り方 工場」などで検索すると、電極式とか通電式と言う方式が出てきました。その場合は、酵母(イースト)を使用して発酵させるので、本当にパンが出来ます。番組中の「オーブン無しでパンが作れる」というのは正しい表現でした。
(余談ですが、地元のパン粉工場では、普通の食パンを焼くのと同じような方式でパン粉を作っています)
結論としては、今回の方法でもパンは作れるようです。しかし理科(特に化学)の教材としては「酵母は焼き殺されてしまい(感電してしまい?)」ではなくて、「重曹は分解され」のほうが適切なんだろうなと思います。