好きなことを知っている人は、しあわせ

好きなことを知れば幸せになれる。好きなことが分からないと幸せになるのは難しい    

津田篤太郎 病名がつかない「からだの不調」とどうつき合うか


 

(045)病名がつかない「からだの不調」とどうつき合うか (ポプラ新書) [ 津田篤太郎 ]

 

タイトルから受ける印象と本の内容に、ずれがあります。この本のテーマは原因が分らない病気、原因が分っても取り除くのが不可能な時に、医療に何ができるのか。「原因を取り除かない医療」みたいなタイトルを付けたほうが、内容を表していると思います。

 

NHKのドクターGに出演、医事指導の経験もある著者の発想は、原因を除去できればめでたし、めでたしのドクターXとは対照的。

 

具体例をあげると、インフルエンザに抗ウイルス薬のタミフルを使うのが原因を取り除こうとする医療。一方、タミフルの副作用や、タミフルの効かないインフルエンザウイルスの出現を警戒して漢方薬麻黄湯を処方するという選択肢もあります。(患者の自己治癒力、免疫力に期待する方法)

 

インフルエンザの場合は比較的単純ですが、著者の専門であるリウマチなどの膠原病統合失調症、転移してしまったがんなどでは話は非常に複雑。

 

結局スッキリした答えにはたどり着かず、漢方とか「かかりつけ医」、患者のセルフモニタリング能力に期待して、本書は終わります。

 

逆説的な表現になりますが、平易な説明で医学の難しさに触れたい人向き。

 

 

(045)病名がつかない「からだの不調」とどうつき合うか (ポプラ新書) [ 津田篤太郎 ]

 

 

 

日本人の知らない日本語4 海外編


 

日本人の知らない日本語4 海外編【電子書籍】[ 蛇蔵&海野凪子 ]

 

人気シリーズの第4弾。


今回はヨーロッパの9カ国を訪問して、各国の日本語学校、大学の日本語専攻の現場を視察するとともに、現地の学生や先生とも交流しています。(現地の観光も)
紙面はオールカラー。雑誌「ダ・ヴィンチ」の連載に加筆・修正したもの。
訪問国は、フランス、ベルギー、ドイツ、イギリス、オーストリアチェコ、スイス(本編ではリヒテンシュタインスロバキアは割愛)

 

こうしたことから今までの3巻とは、ちょっと雰囲気が変わっています。
取材先の日本語学校、大学はイギリス、ロンドン大学など名門校が多数。日本語教師として就職するのは宝くじに当たるか、オリンピックに出場するぐらい難しそうです。学生の多くも秀才、エリートタイプか、オタクっぽい人が目立ちます。ベルギーの大学院の講義では、養生訓の原文を読む授業が紹介されていて、びっくり。

 

今回は海外編なので、日本語を学ぶ外国人の勘違いだけでなく、外国に行った日本人が感じる戸惑いやカルチャーギャップも豊富に収録。凪子先生は外国に行くと、あえて言葉の全く通じない、英語での説明表示も無いような所に一人で行って、その時の戸惑いと発見を楽しんでいるようです。(漫画部分には、それほど出てきませんが、各章の国別コラムでエピソードが披露されています。)言葉よりコミュニケーションを実践できるのは素敵だなと感心しました。

 

日本語にも詳しくなってきた漫画家の蛇蔵さんがヨーロッパの人たちの質問に答えるシーンもあります。しかし、この後の作品では、蛇蔵さんと凪子先生はコンビを解消。第4弾が実質的な最終巻になってしまいました。

 

日本人の知らない日本語4 海外編【電子書籍】[ 蛇蔵&海野凪子 ]

 

呼吸はだいじ 帯津 良一


 

呼吸はだいじ 「ゆっくり吐いて吸う」は、最高の健康法【電子書籍】[ 帯津良一 ]

(今回読んだのは普通の書籍です)

 


中国医学の気功に基づく呼吸法の本。著者の帯津良一は外科医出身ですが、中国医学ホメオパシーなどの伝統医学を取り入れたホリステック医学を志向しています。

 

ゆっくりとした呼吸で心と体を癒すとともに、宇宙との一体感を感じる呼吸法。
ちょっとスピリチュアルっぽい点が、好き嫌い別れそうですが、個人的には読んでいて気持ちのいい本でした。

 

見開き2ページで右側のページには青色インクの大きな文字でポイントが書かれており、左側には説明が書かれています。結構個性的なレイアウトも好き嫌いが分かれそうですが、こちらも個人的には気にいりました。

 

呼吸法に関する著者の考えを読むと、著者が日本の普通の漢方ではなく、中国医学中医学)に、こだわる理由も分るような気がします。日本の普通の漢方では、呼吸法とか気功、太極拳は扱わず、主に漢方薬鍼灸を扱うので。
個人的な経験になりますが、私が喘息で漢方医に行った時に、腹式呼吸を教えてもらったのですが、この本の呼吸法のように色々なバリエーションがあったほうが飽きないかなと思います。

 

合う人、合わない人がいると思いますが、疲れた心と体を癒したい人には選択肢の一つだと思います。

呼吸はだいじ 「ゆっくり吐いて吸う」は、最高の健康法【電子書籍】[ 帯津良一 ]

その”医者のかかり方”は損です 長尾和宏


 

その”医者のかかり方”は損です [ 長尾和宏 ]

 


病院や治療法の選び方、及び効果的な診察、治療を受けるコツを説明した本。

著者は往診による在宅治療も行っている開業医(内科医)

主な想定読者は、自分の健康のことも気になる一方で年老いた両親のことも心配な50代前後の人(40代から60代ぐらいの人)

 

大学病院は特定の臓器の病気(心臓、腎臓、肝臓など)や大学病院でしか治療出来ない一部の病気に適していて、地元の開業医(町医者)で対応できる病気で行くのは得策ではないこと。

 

地元の医師に往診してもらうことで、穏やかな晩年を過ごせる高齢者は少なくないこと。

 

変な思い込みは患者自身が損するだけ。極論が書かれた書物に振り回される、著作やテレビ出演の多い有名な医師=名医だと思い込む、とにかく大病院に行く、とにかく薬を出してもらう、必要も無いのに夜間診療や救急車を利用する、こういった思い込みによる不合理な行動はやめるように促しています。

 

高齢の親に関しては、身体的な疾患だけではなく認知症になる場合も想定して、準備しておくべき。

 

かかりつけ医を選ぶ場合は、ネット情報よりも地元の口コミが重要。かかりつけ医がない人は風邪などの時に気になる開業医(地元の診療所)を受診して自分と相性の良い人を見つけるのが良い。

 

町のお医者さんらしい穏やかな語り口で、この本を読んでいると、こちらも穏やかな気持ちになれました。

 

その”医者のかかり方”は損です [ 長尾和宏 ]

 

「国際人」はじめました。 海野凪子


「国際人」はじめました。 コミュニケーションに国境なし!共感&納得コミックエッセイ

発売日: 2014年08月
著者/編集: 海野凪子, ゆづか正成
出版社: 大和書房
発行形態: 単行本
ページ数: 133p
ISBNコード: 9784479670841


日本人の知らない日本語の海野凪子によるマンガで学ぶ異文化交流入門。

 

語学力に頼らずに、日本語で外国人とコミュニケーションをとる方法を紹介しています。正しい表現ではなく何を伝えたいかに集中すること。言葉と表情を一致させること。アニメ、和食など外国人が好きな日本文化を使って相手とつながること。
敬語や助詞、書き言葉と言った日本語の難しさについて理解すること。

 

マンガ担当の人が蛇蔵さんから、ゆづか正成という人に交代。エッセイ漫画家が凪子先生の個人授業を受けるという設定になったため、「日本人の知らない日本語」に比べて、かなり真面目な雰囲気になっています。凪子先生のキャラも(見た目、言動ともに)真面目で落ち着いた雰囲気になっています。日本語教師を志望する人に、(大学や養成講座で学んでも)日本語教師になれるとは限りませんと釘をさす場面も。

 

ある程度、日本語のコミュニケーション能力のある人とか、英語などの外国語が得意な人(でも喋れないのがコンプレックスな人)が異文化交流の最初の一歩として読むのには悪くない本だと思います。しかし「日本人の知らない日本語」を何も考えずに寝転がって読んでた様な人は、「先生、真面目になりすぎ」と思うかもしれません。

 

真面目すぎても、ふざけすぎても上手く行かないのが学習漫画的なエッセイ漫画の難しい所かもしれません。

 

既に品切れ、絶版のようですが、決して悪い内容ではないと思います。

東大脳の作り方 安川佳美


 

 

東大脳の作り方【電子書籍】[ 安川佳美 ]

(新書版は品切れ)

 

東大受験、東大医学部、東大病院研修医と続く東大三部作の第一作。第一作の出版から10年以上経って、著者は東大病院の外科医に。


この第一作では、幼少期から、幼稚園、小学校、中学受験、女子校では東大合格者数、日本一の桜蔭中学、高校での6年間、東大理科Ⅲ類(≒医学部)合格までを振り返り、特に役立ったと思う出来事を当時大学2年生だった著者が分析しています。

 

簡単に言うと、新書1冊分まるまる使った合格体験記です。

 

頭の良さ自体を鍛えるのは不可能ではないかもしれませんが容易ではないので、体力、競争心、集中力などを養いながら、基礎を大切にして地道な勉強を続ける。著者の場合は自衛官である父親に幼少期から中学受験までは鍛えられる。

 

中学受験で一流進学校に合格できれば大学受験にも有利。

 

桜蔭中学を受験した小学6年生の時、東大受験を控えた高校3年生の時は滅茶苦茶勉強。それ以外の時期は桜蔭の授業を大切にして、空手などのスポーツで体を動かし、8時間睡眠を目指す。

 

各教科の学習方法に関しては、あまり詳しく載っていません(授業を大切にとか、教科書の予習復習をと言った当然と言えば当然、しかし完璧に出来る人は稀な内容が中心)高校レベルの内容なら、それほど工夫しなくても理解できる人でないと東大理Ⅲは難しいのかもしれません。

 

東大脳と言う用語は語呂が良く、インパクトもあるからか、タイトルに「東大脳」が入った本は何冊か出版されています。(東大王というクイズ番組もありますし)東大脳と言う単語は、東大生または卒業生が教える、東大生に学ぶぐらいの意味で、使われているようです。

 

この本に続く医学部編、研修医編も一緒に読むと、「東大脳」エリートの強さと弱点が何となく伝わってくるかもしれません。

 

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医者はこうして作られる  東大医学部 安川佳美

東大病院研修医 駆け出し女医の激闘日記 安川佳美

 

 

東大脳の作り方【電子書籍】[ 安川佳美 ]

 

 

 

コミック あたふた研修医やってます。 


 

 

あたふた研修医やってます。 24時間お医者さん修行中コミックエッセイ【電子書籍】[ 水谷緑 ]

 

紀伊国屋書店の新宿本店に行ったら、看護に関するコミックエッセイのコーナーがあって、一昨日紹介した「今日も私は、老人ホームの看護師です」と一緒に水谷緑という漫画家の本が沢山平積みにされていました。今では色々な設定で医療、看護に関するマンガを出しているようですが、こちらの「あたふた研修医やってます。」が第一弾のようです。

 

マンガなのでレベルとか言うのも野暮ですが、中学生なら充分理解できそうです。

 

余計な設定とか本筋と関係ないストリーなどは挟まず、印象的なエピソードが淡々と描かれています。登場人物の個性とか、こだわりみたいなものを前面に出すのではなくて、具体的なエピソードに焦点をあわせています。

 

点滴の針を刺すのも一苦労だったり、手術の見学だけでも疲労困憊したり。さらに体力的につらい夜間の当直。救急車で運び込まれる救急患者。本物のコードブルー。
教授回診。命の終わりが近づいている患者。

 

この本には精神科は登場しませんが、水谷緑は「 精神科ナースになったわけ (コミックエッセイの森)」という本も出しています。

 

小中学校の図書室や図書館の中学生向けのコーナーにあると、小中学生の参考になりそう。学習マンガに近いエッセイ風マンガ。

 

あたふた研修医やってます。 24時間お医者さん修行中コミックエッセイ【電子書籍】[ 水谷緑 ]