好きなことを知っている人は、しあわせ

好きなことを知れば幸せになれる。好きなことが分からないと幸せになるのは難しい    

生薬単第3版 語源から覚える植物学・生薬学名単語集


 

伊藤 美千穂(監修、一部コラム), 北山 隆 (監修), 原島 広至 (著)

 

非常に情報量が多い生薬図鑑、単語集。

生薬図鑑と詳しい語源解説をセットにしたユニークな構成の1冊。左側ののページは普通の図鑑(植物や生薬の写真、生薬についての解説)、右側のページは語源解説や雑学的な内容になっています。ギリシア語ラテン語を始め、中国語、英語、ドイツ語、アラビア語、ペルシア語、ハングルまで、様々な言語の単語が、それぞれの言語の文字で表記されています。(実物を手にとって眺めてみると圧巻)

 

生薬=漢方薬の原料と言うわけではなくて、アロエ、センナ、アヘンなど漢方では使われない生薬も掲載されています。(一方、漢方薬に使われる生薬で掲載されていないものもあります)

 

自分は長年、麻杏甘石湯を飲んでいたので、麻黄の項目を見てみました。左側のページには、写真や基本的な解説のほかに、ドーピング検査での禁止薬であること。小青竜湯の青竜もマオウのことを示すことなども載っています。右側のページには、ギリシア語などヨーロッパでの語源を説明した後で、麻黄は舌を「麻痺」させることが由来、「黄」はマオウ(の花)が黄緑色のためと出ています。また主要成分であるエフェドリンは、明治時代、日本人の長井長義が発見したことが紹介されています。

 

ハトムギの項目では、ハトムギの種子であるヨクイニンをイボ取りに使うのは、貝原益軒の「大和本草」が最初の記述という紹介も。

 

自分にとって馴染みのある生薬の項目を眺めていると楽しい1冊でした。

 

生薬単第3版 語源から覚える植物学・生薬学名単語集

救急救命士の一日 医療・福祉の仕事 見る知るシリーズ


 

 

中学生、高校生向けの職業ガイド。救急救命士編。(主に学校図書館向けの本)
救急車に乗って現場に駆けつける救急隊員。その中でも患者が病院に到着する前の救命処置を行うのが救急救命士。どんな仕事をしている人なのか、朝、消防署に出勤してから通常の24時間勤務を経て、翌日引継ぎを行って帰宅するまでを紹介しています。(カラー写真も多数掲載)

 

メインの仕事は、救急車で患者のいる現場に行き、適切な処置をしながら病院まで搬送すること。(人命救助が専門のレスキュー隊員とは別の職種)最近の救急車にはプロ用のAEDや酸素吸入器も準備されていて、救急隊員が行える処置も増えてきているとのこと。

 

勤務中は昼食、夕食ともに外食は不可。昼食は弁当などを持ち込み、夕食は消防署内での調理が基本。夜中には仮眠を取るが、救急出動で、ほとんど寝られない日も。救急車の出動指令がない時は訓練や体力トレーニング、事務処理などを行っている。いずれの時間でも、救急車ですぐに急行できるようにしているとのこと。

 

後半では、実際のなり方について。現在は大きく別けて二通りあるそうです。1つは、大学などで学んでから資格を取り消防士(地方公務員)として就職する方法。もう1つは、消防士として就職してから(地方公務員になってから)、業務を経験して、内部での選抜を得て研修を受ける方法。

 

普段馴染みのない職業を紹介したドキュメンタリー番組を見るように興味深く読めました。また救急車の適切な利用が大切と言うことも伝わって来ました。

 

この本から得た豆知識 敬礼は帽子被っている時に行うもの。

 

救急救命士の一日 10代の君の「知りたい」に答えます (医療・福祉の仕事見る知るシリーズ) [ Will ]

 

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津波災害 増補版 河田惠昭(岩波新書)


 

 

東日本大震災の前年に出版された旧版の増補版。東日本大震災の巨大津波に関する第6章と南海トラフ巨大地震に関する第7章が追加されています。(追加されたのは40ページほど。それ以外の章は一部の内容が訂正されている以外は、旧版を踏襲しています)

 

津波の怖さ、歴史または地質に記録されている過去の津波、複雑な津波のメカニズム、津波情報、避難、災害復興、今後のリスクと防災、減災対策。

 

「自分が地震に遭遇したら」という視点だけではなくて、今後、地震の被害を減らすには何が必要かと言う広い視点で書かれているのが特徴。しかし、良かれと思って選択したことが上手く行かないことも多く、正解のない問題も多くあります。
特に人間の行動が関わる分野では、最善の対策を事前に立てるのは難しいようです。
高齢者の避難、車での避難、津波警報、復興まちづくりなど)

 

津波に関する様々な課題が列挙されていて、ある意味教科書のような内容です。
一部に理系の難しい話もあり、人間の心理や福祉、教育の問題も含まれています。
専門書ではありませんが、日本に生きる人の教養として幅広い視野で、じっくりと学んでみたい人向きかもしれません。

 

津波災害増補版 減災社会を築く (岩波新書) [ 河田惠昭 ]

アミロイド苔癬について

今回は私自身の皮膚病の話です。大学病院で皮膚生検を受けて、アミロイド苔癬(たいせん)という診断が確定してから約1年が経ちました。まだ完治はしていませんが、ボツボツは小さくなり、かゆみも治まってきました。そこで今回は自分の体験などについて書いてみたいと思います。

 

まずウィキペディアのアミロイドーシスと言う項目には色々な病気が紹介されていますが、最後にある皮膚アミロイドーシス(アミロイド苔癬を含む)以外は完全に別の病気なので混同しないようにしてください。困ったことに、アミロイドで検索しても、「アミロイドが蓄積される皮膚病」には、なかなか辿り着けないのが現実です。

 

アミロイド苔癬は、主に腕や足の脛(すね)にボツボツが出来て非常に痒い(かゆい)皮膚病です。これだけだと他にも当てはまる病気はありそうですが、近所の皮膚科に通っても、なかなか治らないので大学病院を受診したところ、アミロイド苔癬と診断されました。(今回は皮膚生検を受けてみましたが、この病気に詳しい医師なら検査をしなくても、ほぼ分りそうです)

 

治療法としては痒みを抑えて、掻かない様にして、ボツボツ(アミロイド)が少しずつ小さくなるのを待つのが基本です。(レーザーなどで外科的に除去するのは一般的ではないようです)

 

ステロイドは効かないという記述も見かけますが、私自身はステロイドで、かゆみが、おさまりました。

 

ただ普通のアトピーに比べてステロイドが効きにくいようです。そのため皮膚に浸透しやすくするために、ヒルドイドなどの保湿剤と混ぜる、ステロイドを塗った後、ポリエチレンラップを巻くと言った方法も行われているようです。

 

ステロイドが少ないと、一時的にかゆみはおさまっても皮膚の奥のほうの炎症が残っていて、猛烈なかゆみが襲ってきたりします。(ステロイドの適切な使用量、使用期間は難しい所です)一度、掻き壊してしまうと、元に戻るまで2ヶ月近くかかります。

 

ステロイド以外の治療法としては大学病院などでは光線療法(紫外線療法)もあるようです。抗ヒスタミン薬などの痒み止めは、今まで処方されたことはありません。

 

漢方薬の効果は人それぞれのようです。個人的には黄連解毒湯(おうれんげどくとう)は、ほてり(皮膚の熱感)を緩和する効果があったと思います。また柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)は、寝る前にイライラして掻いてしまう頻度を減らしてくれたように思います。しかし漢方薬だけでは力不足と言うこともあり、ステロイドで痒みを抑えられるようになってからは漢方薬は飲んでいません。

 

今振り返って見ると、こういう少しマイナーな病気は(医学書での知識ではなくて)臨床経験として知っている先生にめぐり合えるかが大きいような気がします。
確率的には大学病院の先生のほうが、病気を知っている可能性は高いと思います。

 

アミロイド苔癬は治りやすい病気とは言えません。しかし「かゆみのコントロールが上手い」先生にめぐりあって、患者自身も「かゆみを酷くしない知恵」を身に付けていけば、少しずつ良くなっていく可能性はあると思います。

 

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ロウソクの科学 ファラデー (岩波文庫の新訳)


 

 

理科教育の古典的名作。150年以上前の1850年にイギリスで行われた授業(クリスマスレクチャー)を書籍化したもの。燃焼の仕組みを中心に、気体の性質、電気分解、空気の成分、呼吸と光合成など。小中学校の理科で学ぶ化学の内容を、豊富な実験を通じて学習します。

 

この本には、いくつか日本語訳がありますが、今回読んだのは岩波文庫の新訳です。竹内敬人(たけうち よしと)訳 2010年発行。やや難しくても正確な翻訳と注釈を目指しているという印象。当時の状況についても、注釈と巻末の「ファラデー 人と生涯」で詳しく説明しています。主な読者としては小中学生よりも理科を教える先生を想定しているのかもしれません。

 

最初は化学って「ロウソクの燃焼」と言った基礎の基礎でも難しい(とっつきにくい)と思ったのですが、読んでいくと、こういう実験、小学校で見たことあると懐かしくなって来ました。説明が多少分りにくいところがあっても、かすかに覚えている理科の記憶をたどりながら読んでいると次第に面白くなってきました。小中学校の理科(化学関連)の元ネタの1つが、この本だったのかなと思います。

 

物が燃えるのには酸素が必要。
水は酸素と水素に分解できる。
水素に火をつけると爆発する。
気体にもちゃんと重さがある。空気より軽い気体は浮く。(気体の分子が飛び回るという説明はしていません)
ブリキ缶の中の空気を抜くと、空気の重さで缶は潰れる。
木炭など炭素が燃えると、二酸化炭素が発生する。
金属である鉄粉も燃える。
カリウムのように水と激しく反応する物質もある。
空気の大部分は酸素と窒素で構成されている。
燃焼と呼吸は似ている

 

こうしたことを、なるべく実演実験を交えてレクチャーしています。

 

詳しい注釈(訳注)には、当時の時代背景も説明されています。既に電報や蒸気機関車、写真はあったこと。電気は発電所からの送電ではなくて、ボルタ電池(ボルタの電堆)を利用していたこと。そのため電球の明かり自体が珍しかったこと。

 

また巻末には、ファラデーの生涯が紹介されています。ファラデーは正規の大学教育を受けたわけではないものの学者として頭角を現していったこと。ベンゼンの発見と言う化学史上の業績もありますが、どちらかと言うと電磁誘導を発見した物理学者として有名と言ったことが紹介されています。

 

ロウソクの科学 (岩波文庫) [ マイケル・ファラデー ]

将棋の渡辺くん(3) 3月9日発売


 

3月9日発売
将棋の渡辺明棋王永世竜王)を妻の伊奈めぐみがコミカルに描いたエッセイ漫画。以前は口数少なく気難しそうなイメージだった渡辺明永世竜王ですが、このマンガでは、ひふみん(加藤一二三九段)並みに、ユニークなキャラとして描かれています。(リンク先は新発売の3巻ですが、実際に読んだのは図書館にあった第二巻です)

 

病気とか障害に関する用語を安易に使うべきではないのですが、このマンガに描かれている渡辺明の面白さも、ひふみん同様、発達障害的、アスペルガー的な面白さのような気がします。(あくまでも「的な面白さ」であって、障害そのものを抱えていると言いたいわけではありません)自分の才能を生かせる天職にめぐり合い、自分の特性を理解して尊重してくれる家族を得て、普通の人と違う部分もあるけど幸せに暮らしている。(ひふみんも、渡辺明も非常に強い将棋界のナンバー2と言うイメージがあります)将棋以外にも、こだわりが強く、苦手なことも多く、普通の人と違う場面で怒りや不安を感じやすい。しかし明晰な頭脳を駆使して困難の多くは克服している。

 

本当は、こんな読み方をしないで普通にマンガとして楽しめば良いのでしょう。
しかし私自身は面白いというよりも勉強になるという印象を持った作品でした。

 

ちなみに将棋を芸術のように考えている加藤一二三九段に対して、渡辺明竜王(当時)は「(将棋は)芸からスポーツになりつつある」とコメントしています。(巻末収録の対談)

 

将棋の渡辺くん(3) (ワイドKC 週刊少年マガジン) [ 伊奈 めぐみ ] 3月9日発売

アイドルグループは砂のお城

最近までアイドル活動もしていた女優の河上英里子さんのつぶやき。
「大事に大事につみあげてきた砂のお城。きょうは風が強い日だったもんなぁ、飛んじゃうのなんて一瞬。

 

人を呪わば穴二つ。気持ちを守るために、感情を憎しみに変えても、だれも、なにも、救われない

 

また大事に大事に砂のお城をつみあげよう、よっぽど正しいはず。愛したのは、わたしなんだから。」(引用終わり)
河上 英里子
@eri_usagi_
- 2018年3月5日

 

おそ松さんのオープニング主題歌で知られるアイドルグループ「A応P」。その候補生ユニット「A応P ZERO」に今年1月まで所属していた河上英里子さん。彼女は女優に専念するとしてA応P ZEROを退団しました。それから1ヶ月あまり、3月5日に彼女以外の「A応P ZERO」メンバー6人が正規メンバーに昇格することが発表されました。上に引用したのは、その直後の呟きです。アイドルに対する複雑な思いが「砂のお城」と言う比喩で表現されていて感心してしまいました。

 

世代的なものなのか、私自身は未だにグループアイドルに違和感を感じます。
その違和感を当事者が上手く表現してくれたと思ったので、ブログに記録しておきます。