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ロウソクの科学 ファラデー (岩波文庫の新訳)


 

 

理科教育の古典的名作。150年以上前の1850年にイギリスで行われた授業(クリスマスレクチャー)を書籍化したもの。燃焼の仕組みを中心に、気体の性質、電気分解、空気の成分、呼吸と光合成など。小中学校の理科で学ぶ化学の内容を、豊富な実験を通じて学習します。

 

この本には、いくつか日本語訳がありますが、今回読んだのは岩波文庫の新訳です。竹内敬人(たけうち よしと)訳 2010年発行。やや難しくても正確な翻訳と注釈を目指しているという印象。当時の状況についても、注釈と巻末の「ファラデー 人と生涯」で詳しく説明しています。主な読者としては小中学生よりも理科を教える先生を想定しているのかもしれません。

 

最初は化学って「ロウソクの燃焼」と言った基礎の基礎でも難しい(とっつきにくい)と思ったのですが、読んでいくと、こういう実験、小学校で見たことあると懐かしくなって来ました。説明が多少分りにくいところがあっても、かすかに覚えている理科の記憶をたどりながら読んでいると次第に面白くなってきました。小中学校の理科(化学関連)の元ネタの1つが、この本だったのかなと思います。

 

物が燃えるのには酸素が必要。
水は酸素と水素に分解できる。
水素に火をつけると爆発する。
気体にもちゃんと重さがある。空気より軽い気体は浮く。(気体の分子が飛び回るという説明はしていません)
ブリキ缶の中の空気を抜くと、空気の重さで缶は潰れる。
木炭など炭素が燃えると、二酸化炭素が発生する。
金属である鉄粉も燃える。
カリウムのように水と激しく反応する物質もある。
空気の大部分は酸素と窒素で構成されている。
燃焼と呼吸は似ている

 

こうしたことを、なるべく実演実験を交えてレクチャーしています。

 

詳しい注釈(訳注)には、当時の時代背景も説明されています。既に電報や蒸気機関車、写真はあったこと。電気は発電所からの送電ではなくて、ボルタ電池(ボルタの電堆)を利用していたこと。そのため電球の明かり自体が珍しかったこと。

 

また巻末には、ファラデーの生涯が紹介されています。ファラデーは正規の大学教育を受けたわけではないものの学者として頭角を現していったこと。ベンゼンの発見と言う化学史上の業績もありますが、どちらかと言うと電磁誘導を発見した物理学者として有名と言ったことが紹介されています。

 

ロウソクの科学 (岩波文庫) [ マイケル・ファラデー ]