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Q&Aでよくわかるアレルギーのしくみ  斎藤 博久 (著)


 

 

Q&Aでよくわかるアレルギーのしくみ ~アトピー性皮膚炎、食物 アレルギー、花粉症、気管支ぜんそくの最新科学
斎藤 博久 (著)

技術評論社


最近の免疫学の進歩によって明らかになったアレルギーのしくみを一般の人向けに解説した本。

 

科学、健康関連のニュースでは、アレルギーを防ぐためには皮膚の保湿が重要とか、食べて治すアレルギーと言った内容が報じられていますが、そうした話の根拠を最新の研究を紹介しつつ説明しています。

 

「アレルギーは皮膚から」「口から入った食べ物はアレルギーを防ぐ働きがある(免疫寛容)」と言うギデオン・ラックの二重抗原曝露説に基づいてアレルギーに関わる様々な現象を体系的に解説しています。

 

食物アレルギーの場合でも、初めはアレルギーを起こす物質が皮膚から入って、それから食べものを食べた場合にもアレルギーが生じるようになると考えています。

 

また清潔な環境が逆にアレルギーを悪化させるという衛生仮説や、最近話題になることの多い遺伝要因に関してもデータに基づいて検証しています。

 

アトピー性皮膚炎の強いかゆみには、黄色ブドウ球菌の毒素が影響しているなど、アレルギー性疾患に関する研究成果も紹介されています。

 

アトピー治療に使われるステロイド薬に関しては、ちゃんと使用することを勧めつつ、将来的にはアレルギーそのものに対する治療に期待している点で、一般的な皮膚科医とは温度差があるかもしれません。

 

この本のテーマは、免疫学の中でアレルギーに関する分野の最近の研究を紹介することです。そのため専門用語も多く難しい部分もありますが、科学読み物として、読み応えのある内容になっています。

 

金属アレルギーとか日光アレルギーと言った(仰天ニュースに出てくるような)マイナーなアレルギーには、ほとんど言及されていないので、患者向きと言うよりは、医学や生物学に興味を持つ人向きの内容になっています。

 

 特に免疫学に興味を持った高校生が夏休みとかに読むと参考になりそうです。