食べる量が少ないのに太るのはなぜか 香川靖雄(幻冬舎新書)
食べる量が少ないのに太るのはなぜか [ 香川靖雄 ]
|
電子版あり
カロリー以外の部分にも、こだわって、やせる食生活、健康的な食生活を考える1冊。
最も大切なのは朝食を抜かずに食べること。
そして時間栄養学の提唱者である著者(香川靖雄)が重視するのは食べる時間。
起床後、2時間以内に朝食を取る事。
夕食は、なるべく8時までに食べること。
(その後で、長すぎず、短すぎない7時間前後の睡眠を取るのが理想)
カロリーの多い食事でも太りにくいのは昼食。
食事内容に関しては、糖質制限ではなくて血糖値をあげにくい食事が大切。
(糖質を極端に多くとっている場合を除く)
個人的に驚いたのが菜食主義と健康に関する部分。
菜食主義者の中には100歳を超える長寿の人もいる一方で、遺伝的な体質によっては菜食主義は非常に危険とのこと。
この本の著者(香川靖雄)の専門は肥満治療ではなくて、栄養学、生化学(分子生物学)。そのためタンパク質や遺伝子の話が多く、普通のダイエット本と比べると、やや難しくなっています。
また身も蓋もないことを言うと、ダイエット法としては少し前に流行って廃ってしまった内容が多いので、この本の内容を実践して痩せられる人は多くないのかもしれません。
しかし、やせるためと言うよりは、健康的な食生活のイメージをつかむためには
役立ちそうな1冊です。
毒と薬の科学 佐竹元吉 編著 おもしろサイエンスシリーズ
毒と薬の科学 [ 佐竹元吉 ]
|
文系人間にとっては非常に敷居の高い分野が薬の話(薬学、薬理学)
正攻法で解説すれば、どうやっても難しくなってしまう分野ですが、歴史的なエピソードと薬の材料(様々な植物や動物など)に焦点を当てたトピックス形式で、かなり読みやすくなっています。
伝統医学→天然物化学(植物、動物、鉱物の毒と薬)→化学合成の毒と薬(狭い意味での薬学)→薬害、薬物の乱用という流れの中で「毒と薬」に親しんで生きます。
薬と毒の「科学」に関しては、断片的に簡単に触れられているだけとも言えそうですが。
本文は130ページほどなので二日ぐらいあれば読めそうです。
(この本の図表にも所どころに、有機化学で使う亀の甲が載っていますが、大部分の読者は、薬学って難しそうと思いつつ、スルーするしかなさそうです)
「毒と薬の科学」というタイトルの通り、本書の主役は毒。しかし、この本で取り上げられている毒の多くは「毒にも薬にもなる」ものです。
最初は植物や動物から毒として発見されて、研究、開発を経て、現在では薬の材料として使われている多くの物質。
古代から毒があることが知られており、毒を抜いて漢方薬に使われているトリカブト
薬のつもりで使っていたら多くの被害をもたらしたもの
(古代のヒ素や水銀、20世紀に多発した薬害)
毒と薬は古代から現代に至るまで、表裏一体、コインの裏表のような存在。
毒になるか、薬になるかは、さじ加減次第のものも少なくないと、実感できました。
断片的ですが印象的なエピソードが色々と紹介されているので、いくつかメモしておきます。
毒キノコの成分から薬を作る研究は何十年も続いているが成功していないこと
大きな薬害を起こしたサリドマイドは難病の治療薬として再び承認されたこと。
日本における漢方薬復権のきっかけとなった薬害事件(スモン事件)
ときめくきのこ図鑑 (山と渓谷社)
ときめくきのこ図鑑 [ 堀博美 ]
|
きのこにときめく、きのこ萌えの図鑑。
写真集のように観賞するためのきのこ図鑑。
文章担当の掘博美は、日本唯一のきのこライターとのことで、文章からも、きのこに対するこだわりが伝わってきそう。
以下印象的なキノコを箇条書き
童話の世界や草間弥生の毒キノコが思い浮かぶベニテングタケ 紅天狗茸
触るのも危険なカエンタケ火炎茸
漢方の世界では冬虫夏草として有名な虫に生えてくるキノコ
青いキノコ
夜になると緑色に光るキノコなど
きのこグッズを紹介しているページもあり、自分で雑貨や小物などを作って販売している人には、ネタ探しの参考になるかもしれません。
ときめく図鑑シリーズは山と渓谷社から、ときめくカエル図鑑、ときめくコケ図鑑、ときめく微生物図鑑と、マニアックなテーマのものも出版されています。
(猫、花、チョウと言ったメジャーなテーマも)
本屋さんに並べてあったら、楽しそうなシリーズです。
マクドナルドで2000カロリー近く食べてしまった話
先日マクドナルドに行った時、チキンナゲット15個30%引きのセールをやっていました。マクドナルドで思いっきり食べてみたいと思った私(男です)は、ビッグマックセットとナゲット15個をイートインで注文して、すぐに食べてしまいました。
あえて説明する必要もないのでしょうが、マクドナルドのメニューは基本的に食べやすく、ビッグマックセットとナゲット15個でも、ちょっと大盛りの牛丼やチャーシュー麺を食べたぐらいの感じでいました。
しかしマクドナルドのホームページなどでカロリーを計算してみると、
牛丼特盛りなどより、かなり大量のカロリーを摂取していました。
(塩分もたっぷり)
以下公式ホームページと「外食のカロリーガイド(女子栄養大学出版部)」を元にカロリーを計算してみました。
ビッグマックセット 680円
ビッグマック 530カロリー 塩分 3.4グラム
ポテトM 424カロリー 塩分 1.1グラム
コカコーラM 140カロリー
(合計 1094カロリー 塩分 4.5グラム)
+
チキンマックナゲット15個入り
570円(3割引のキャンペーン中に購入)
789カロリー 塩分3.9
合計
1883カロリー
塩分 8.9グラム
野菜 ビッグマックのレタスなど、ごく少量
卵と乳製品 ビッグマックの原料に使用
全体的に、カロリーと塩分は1日分、野菜などは、ごくわずかでした。
カロリーの割に満腹感にも乏しいので、今後は、こういう食事は控えようと思います。(当たり前ですが)
参考
牛丼|吉野家公式サイト 牛丼特盛り 1063キロカロリー
元素に恋して(動画のリンクあり)
元素に恋して マンガで出会う不思議なelementsの世界 [ 千代田ラフト ]
|
電子版もあります。
(動画サイトは、この記事の最後に)
化学が本当に苦手、中学レベルでもあやふや、炭素とか窒素は単語としては知っていても、今一つイメージがわかないと言ったレベルを想定している学習漫画です。
(中学生または中学レベル)
周期表、錬金術、酸素、金、窒素、アルミニウム、水素、炭素、銀
9個のテーマで化学の基礎の基礎を学んでいきます。
理屈っぽい話よりも化学史上のエピソード中心なので普通の入門書はもちろん中学校の教科書よりも敷居が低くなっています。
冒頭にニホニウムの話と原子番号118まである最新バージョンの周期表が載っていますが、本編とは基本的に関係ありません。
意外だったのは、この本(漫画)の原作が、文字で書かれた書籍ではなくて
ネットで無料配信されている動画だったこと。
これは現在でも、かなり珍しいケースではないでしょうか。
科学技術振興機構(JST)の提供するサイエンスチャンネルで提供されている
「elements~メンデレーエフの奇妙な棚~」という動画を元に、漫画として書籍化されました。
元の動画は2004年から2008年の間に、32話制作されています。
(漫画には9話分を収録)
elements~メンデレーエフの奇妙な棚~ 番組一覧 (サイエンスチャンネルのサイト)
妖しげな骨董屋を舞台に、少女と謎の店長とのシュールな会話や美しい映像、多彩な実験映像やアニメーションを使って、「元素」と「周期表」の関係と特徴を分かりやすく解説する番組です。
軟膏・クリーム配合変化ハンドブック
軟膏・クリーム配合変化ハンドブック第2版 [ 大谷道輝 ]
|
薬剤師さんや皮膚科医が、一緒に混ぜても良い塗り薬か、混ぜないほうが良い塗り薬かを確認するためのマニュアルです。
本来なら患者の側で読む必要も存在を知る必要も無い本ですが、私の場合は
塗り薬の混合に批判的な本を読んだことがあったので、こういうマニュアルが存在しているのが分かると安心できました。(都立中央図書館で、現物を眺めて見ました)
脱ステロイドと言うわけではなく基本的に標準治療を踏襲しているのに患者の不安感や医師への不信感を妙に煽るような本を見かけたことがあって、そういう本は紹介したくないので、あえて薬剤師さん向けの本を紹介してみました。
アマゾンのランキングの皮膚科学3位なので、おそらく多くの薬局で重宝されているのでしょう。
質の悪いジェネリック医薬品(これは実際に経験したことがあります)など、一時的に問題が起きても全否定するのではなく問題点を改善していくことも出来るのが科学の強みではないかと思います。
この本はなんこう練太郎の記事で紹介したサイトでも紹介されています。
もやしもんと感染症屋の気になる菌辞典 岩田 健太郎 著 / 石川 雅之 絵
もやしもんと感染症屋の気になる菌辞典 [ 岩田健太郎 ]
|
見開き2ページに一つの菌を解説した新しい細菌図鑑かと思って眺めていると、
何か違う感じのする1冊。
各項目に描かれているイラストは、紹介されている菌を描いたものではなくて、「もやしもん」と言う漫画のキャラクターでした。
(タイトルも菌図鑑ではなく、菌辞典になってます。正確には辞典や事典でもなく菌に関するコラム集ですが)
「もやしもん」が、この本の売りのようで、巻末には、本文を執筆した岩田健太郎医師と漫画家で「もやしもん」の作者石川雅之の対談も収録されています。
初出は、メディカル朝日と言う医療従事者向け雑誌の連載とのこと。
休み時間の微生物学と言ったタイトルの本もありますが、休み時間の微生物とか、菌の話と言った、息抜きをしつつ、ある程度ためになることを狙っている感じの企画です。
著者の岩田健太郎は微生物そのものが専門ではなくて感染症が専門の内科医とのことで、「どういう時に、この菌の感染を疑うのか」とか、「感染者がいた場合に何に注意すべきか」と言った内容に重点を置いてます。(水虫の話が出てこないのは、水虫で内科を受診する人は普通いないからでしょうか)
O157、ジカ熱、エボラ出血熱。MERS,ハンセン病、結核と言った自分にも聞いたことのある項目を読んで見ると面白かったので、一応最後まで読めました。
全体的には難しい内容が多かったのですが、国際的な視野と予防注射の重要性を訴えていることや、結核とハンセン病の話は印象的でした。(あと、グラム陽性細菌、グラム陰性細菌という分類は、微生物関連では常識だということも)
巻末の対談は、モノマネ芸人が「ご本人」に認知される話と似ていて
面白かったです。(漫画家が関連分野の専門家に認知される話)