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原因を探らずに治すアトピー(清水良輔)

原因を探らずに治すアトピー(清水良輔) 日本評論社

 

 
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アトピー性皮膚炎の治療では、アレルギーを特定するための検査は重要ではなく、ステロイドの正しい使用や心理療法が効果的と言う立場で書かれた1冊。


アトピー患者の具体的な症例を報告した部分は非常に臨場感があり、精神科医心療内科のように患者の悩みに向き合っているという印象を受けました。

 

ステロイドに関しては医師が正しいと思った治療法を実施するインフォームドコンセントではなくて、最終的には患者に選択させるインフォームドチョイスの立場を明確にしています。そして内服薬は危険、塗り薬は安全と言う立場を取るのではなく、強いステロイドが必要な時は短期間、内服薬を処方する時もある一方で塗り薬の場合でも長期間の連用は避けるべきという立場を取っている。


また再発予防効果が高く計画的にステロイドを減らすことの出来るプロアクティブ療法の有効性を強調しています。血液検査に関してもアレルギーを特定するための検査は必要ないという立場ですが、炎症状態(アトピー性皮膚炎の酷さ)を測定するTARCに関しては有効に活用すべきと言う立場です

 

一方ステロイドの使用を望まない患者や、ステロイドだけでは治癒しない患者には心理療法が効果的という立場。著者自身は、ブリーフセラピーとナラティブセラピーを活用しているとのこと。アトピー性皮膚炎の心理療法について詳しく載っている本は少ないので貴重。

 

このブログで以前紹介した川島眞医師もアトピー性皮膚炎の心理的な要因を重視する立場ですが、どちらも理論的な研究からではなく臨床経験から心理面の影響の大きさを重視するようになった点は共通しています。その一方で、大学教授で大学病院勤務の川島医師と、開業医の清水医師の立ち位置の違いも個人的には興味深い内容でした。二人とも、心理面を重視する一方で、抗うつ薬など精神科で処方される薬を使用することの是非については言及を避けています。まだ結論の出ていないテーマなのかもしれません。

 

私自身も皮膚科に通院しているのですが、皮膚科は他の科に比べて診察料が安いような気がします。また大学病院の偉い先生は、アトピーと他の病気の正確な鑑別には熱心で診断自体は頼りになりますが、病気を治しきるという熱意には乏しい場合が多いような気がします。しかし、この本の清水医師のように、充分な知識と経験を持つ皮膚科医が、本気で治そうとすれば、難治性と言われている皮膚病のかなりの部分は治るのではないかと思いました。理想の皮膚科医についても考えさせられる1冊でした。
 
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