同じ調査に逆の見出し(朝日新聞と毎日新聞)
毎月勤労統計調査という調査を伝える記事の見出しです。
3月実質賃金は前年比0.3%減、3カ月ぶりマイナス=毎月勤労統計
朝日新聞社
NEWSFLASH
3月の給与総額0.1%増加
(毎日新聞)
正確な内容を知りたい方は、「毎月勤労統計 2020年3月」で検索すれば出てくると思います。
どちらの見出しも分かりにくいからか、内容を、もっと詳しく説明している見出しもあります。
以下、見出しのみ引用
日経
3月の実質賃金、前年同月比0.3%減 名目賃金が物価上昇率ほど伸びず
毎日新聞の別の記事
(共同通信配信、中日新聞も類似の見出し)
3月の給与総額0.1%増 コロナでパート減り、一般労働者の比率増が要因
引用終わり
見出しにある実質賃金と給与総額については、日経の記事などで解説されています。日経の記事では、「物価変動の影響を除いた実質賃金」、「名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額」と説明されています。
見出しにより、0.1%増と0.3%減 に分かれたのは、物価の上昇を考慮するか、しないかの違いだったわけです。(平均賃金は少しあがったけれど、それ以上に物価が上昇した)
「平均賃金は少しあがった」と書いてしまいましたが、そこにも統計の罠が潜んでいました。
その罠について説明しているのが「コロナでパート減り、一般労働者の比率増が要因」という見出しです。パートの減少に関しては、やはり日経の記事で、具体的な数字が載っていました。
日経の記事からの引用
「パートタイム労働者比率は0.49ポイント低下の31.27%だった。」
引用終わり
給与総額というのは、あくまでも「一人あたり」の総額です。そのためパートタイムの人が減れば、一人当たりの平均金額は増加するわけです。(仕事がなくなった人の賃金は、0円として計算されるのではなくて、合計人数から除外されてしまいます)
今回は説明が分かりにくかったかもしれません。しかし、見出しだけでは、内容を誤解しかねない記事の例として、メモしておきたいと思いました。