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生き抜くための数学入門 新井紀子


 

 

小中学校の算数・数学の意味を深く考えて、高校からの数学を少しだけ先取りする算数・数学読み物。かけ算の定義からオイラーの等式、 e ^ iπ + 1 = 0 (eのiπ乗+1はゼロ)まで。

 

「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトでも有名な数学者の新井紀子が10年以上前に出版した本です。(現在は初版と出版社が変わっています)

 

簡単に読める部分、感心した部分、納得しがたい部分、数学的にかなり難しい部分と色々でした。(身も蓋もない言い方をすればバランスが悪いと言えるかもしれません)

 

負の掛け算とか、累乗、グラフ、四角形と言った項目は自分で計算する部分も少なく、すらすらと読んで、すぐに終了。(どこかで読んだ記憶のある内容も多かったです。)

 

感心したのは無限に関する部分。定番の0.999・・・=1の説明の後の無限に関する説明。(以下一部抜粋、引用)
「数学では無限が登場すると、とたんに色々と変なことが起こり始めます。それは、私たちが有限の世界に生きているからです。」
「無限は人間の論理が生み出した想像の産物だと言っても過言ではありません。」
「無限の世界を進むには、日常の直感はほとんどあてになりません。論理だけで進む以外にないのです」(引用終わり)

数学って特殊だなと言うのが個人的な感想です。

 

個人的に違和感を持ったのは、数学的な思考が、国際的なルール作りや異文化コミュニケーション、裁判員裁判などに有効だと、主張している部分。ちょっと強引な気がします。

 

最後、純粋に難しいと思ったのは、三角関数からテイラー展開オイラーの等式と続く終盤部分。

e ^ iπ + 1 = 0 (eのiπ乗+1はゼロ)と言う式。
これは普通に計算すれば成り立つと言うわけではなくて、e(自然対数、ネイピア数)とπ(円周率)の近似式を使って代入していくと得られるそうです。この本では少し前まで中学校レベルの話をしていたし、虚数iもいきなり出てくるので、ちょっと無茶な気もします。(博士の愛した数式が映画化された翌年の出版なので、話題性のあるテーマを最後に選んだようです)

 

もし減点法で評価するなら、かなり減点したくなる1冊ですが、面白い部分も色々ありました。

 

 

生き抜くための数学入門 (よりみちパン!セ) [ 新井紀子(数学) ]