マンガで読む世界の偉人
X線発見の経緯が漫画で分かる
第一回ノーベル物理学賞受賞
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現代では、ほとんどの人が経験するレントゲン検査(X線撮影)。X線の発見者として有名なのがレントゲン。(ウィルヘルム・コンラート・レントゲン。ネット上ではヴィルヘルムという表記が多いのですが、子ども向けの本なので、ヴィをウィにしているのかもしれません)
指輪をした妻の手の「レントゲン写真」も有名ですが、それ以外のことは、知りませんでした。
19世紀、ドイツ(プロイセン)の裕福な家に生まれたレントゲン。理不尽な理由で高校(にあたる学校)を退学になってしまい、大学受験にも失敗。しかし20代の若い新任教授との出会いを経て物理の道に進むことに。
まだ研究助手だったレントゲンは、先行研究の誤りを厳密な検証実験で明らかにして頭角を現したとのこと。
そして中学の理科、物理分野でも学習する、クルックス管による真空放電、陰極線の研究を出発点にして、X線の発見につながったとのこと。
物理学者には、実験が専門の実験屋と、数学などを駆使して理論的な研究を行う理論屋、(現代では、それに加えて計算機屋)に分かれるという話を聞いたことがあります。この本で描かれているレントゲンは典型的な実験屋さん。
「なにも考えなかった ただ実験をくりかえした」というコメントを残しているとのこと。
先行研究を厳密に検証し、それを踏まえて、新しい実験を計画する。そして、その成果を、別の専門家が、さらに発展させたり、医学や工学に応用したりする。多くの子どもたちが天才科学者に対して抱いているイメージよりも、おそらく現実の科学者の姿に近いものだと思います。
X線の正体について、あまり解説されておらず、あくまでも「不思議な線」として紹介されていること。放射線の危険性については、巻末で、ごく簡単に触れているだけな点。こうした点については、この本の評価が分かれるかもしれません。
理科が好きな子ども、科学者に憧れる子どもに良さそうな1冊。物理を全く学んだことはない大人でも気軽に読める本(漫画)。
レントゲン (コミック版 世界の伝記 39) [ 漫画 フカキ ショウコ 監修 岡田晴恵、田原周太]
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