好きなことを知っている人は、しあわせ

好きなことを知れば幸せになれる。好きなことが分からないと幸せになるのは難しい    

不登校でも大丈夫(岩波ジュニア新書)


 

 

小学校の3年生から不登校になり、その後は学校に通うことなく大人になった著者。
末富晶(すえとみしょう)さんが、人生を振り返り、不登校の当事者と関係者に語りかける1冊。(約1年前、2018年の出版)

 

学校には行かなくなっても、神社の森で、友達と遊んですごした小学生の頃。

 

理解のある祖父母。

 

学校に行かなくても何度も家庭訪問に来てくれた担任の先生。先生は、学校に行かなことを認めてくれた上に、楽しい思い出も残してくれたとのこと。

 

また14歳の時から飼っていた大型犬ラブラドールレトリバーも、著者に色々なものを与えてくれたこと。

 

山田洋次監督の学校Ⅳに関わるようになったこと。情報提供者のような立場なので、気楽にエキストラとして出演したり撮影を見学したり、東京観光を楽しんだりできたこと。

 

偶然に導かれるように生け花をはじめ、師匠に師事し本格的に学ぶようになり、やがては生け花を教えるようになったこと。普通の流派とことなり、型のない生け花で、単なる趣味や仕事というよりも、人生を考える手がかりになったこと。自由の中でのふるまい方や、自由と調和など。

 

今では自身の経験から、確信をもって「不登校でも大丈夫」と言える著者。
一方、第三者の視点から見ると、「こういう人なら」とか、「こういう環境なら」と条件をつけて、「不登校でも大丈夫」と言いたくもなります。とは言え、不登校の時間をいかに有意義に過ごすかについて、いろいろと参考になると思います。

 

個人的には、子どもを束縛せず、自由を奪うことなく、子どもに愛情を注げる大人の存在が大切なんだろうと思います。(祖父母や学校の先生、映画のスタッフなど)
生け花の先生にしろ、声優にしろ、異才を発揮するプログラマーにしろ、何かの仕事を意識すると、ある程度自由を制限し、束縛してでも、高い水準に達することが求められます。しかし、その前に「束縛しない、自由を大切にする愛情」を注がれた人は、多少の困難があっても、人間そのものに対する信頼感は揺らぐことはないでしょう。

 

最後に注意点を一つ。
この本は、200文字程度を一つの文で書く独特の文体で書かれています。はてなブログになじんでいる人や、小説が好きな子ども、ガールズトークなれているような人なら、特に抵抗なく読めると思います。しかし国語が苦手な子どもにとっては、読むのが大変かもしれません。

 

不登校でも大丈夫 (岩波ジュニア新書) [ 末富晶 ]