めんそーれ！化学 岩波ジュニア新書

めんそーれ！化学 おばあと学んだ理科授業 [ 盛口　満 ] 価格：950円（税込、送料無料) (2019/5/20時点)

中学校に通えなかった沖縄の「おばあたち（おばあさんたち）」のために行われた夜間中学の「化学の授業」。おばあたちの豊富な人生経験（実体験）と化学の基礎が重なり合うことで、味わい深い化学教室が展開されました。

基本は、中学理科を学んだことのない人でも理解しやすい化学入門です。化学記号などの暗記不要、計算問題も扱いません。予習しなくても、ちゃんと話を聞いていれば分かる授業です。著者の盛口満氏は、生物学（と理科教育）が専門とのこと。食品や生物関連（生化学、有機化学といった分野）の内容が多め。ハードルが高い、これらの分野に自然と親しめる内容です。（読み物としては、２、3時間で読み終わる科学・化学読み物）。

しかし、あちこちに「おばあたち」の素朴な疑問や体験談が挟まれているので、普通の教科書や入門書にはない味わいがあります。「料理という熟語を反対にすると理科になる？」という素朴な疑問（残念ながら、勘違いですが・・・）。ある生徒（おばあ）は、酸化と言えば「油（天ぷら油）の酸化」のことだと思っていて、「ろうそくの燃焼」の説明をしようとした先生を戸惑わせるエピソードも。

戦争中から終戦後、アメリカ占領期にかけてのエピソードも、当事者の体験談として、所々に出てきます。米の代わりにイモ（サツマイモ）を食べてた話など。

中学理科・化学と「おばあ（おばあちゃん）の知恵」が共鳴するユニークな理科の教科書。

めんそーれ！化学 おばあと学んだ理科授業 [ 盛口　満 ]