好きなことを知っている人は、しあわせ

好きなことを知れば幸せになれる。好きなことが分からないと幸せになるのは難しい    

通じない日本語 窪薗 晴夫 平凡社新書


 


「パンツはいてくればよかった」何気ない表現ですが、世代(年齢)によって、一般的な解釈が異なります。(年配の人にとっては下着、若い人にとってはズボンの意味)。このように年齢や地域が異なれば「通じない日本語」も珍しくありません。それぐらい多様性を持っている言語が日本語です。その多様性を羅列するだけでなくて、多様性を生み出す法則についても考察、解説しています。

 

著者は鹿児島出身、60代の言語学者。他の地域の人や若い世代の日本語と接した時に戸惑った経験が具体例として紹介されています。難解な内容ではありませんが、新書本では少数派の横書きで、日本語に対して客観的に考えてみようと言う立場を反映しているようです。

 

中高年の人たちが、若い世代の言葉が理解できない理由としては、新しい略語が大量に作られていること。(特にカタカナの略語は知らないと類推が難しい。)「やばい」「パンツ」のように意味が変化している単語があること。そして単語の発音の変化。
非常に気づきにくい例ですが、銀メダルの発音が微妙に変化していて、年配の人には金メダルとの聞き間違えが多発しているとのこと。こうした変化について、具体例をあげるだけではなく、言語学的にも解説しています。

 

後半は、いわゆる「方言」について。
「お肉」「辛い」「甘い」「太い」、「やる」と「くれる」、「行く」と「来る」と言った基本的な単語の意味、用法が方言によって異なること。


さらに単語レベルだけでなく、アクセントやイントネーションに関する法則も方言によって異なっていることが解説されています。


また、この本全体を通して、現代における日本語の多様性(世代間、地域間の差異)は日本語の歴史を反映していることが繰り返し説明されています。

 

言語学に少し興味があるけれど本格的な教科書は難しいと感じている人のための「通じない日本語を通して学ぶ言語学入門」とも言えそうです。

 

通じない日本語 世代差・地域差からみる言葉の不思議 (平凡社新書) [ 窪薗 晴夫 ]