好きなことを知っている人は、しあわせ

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高木仁三郎 元素の小事典

元素の小事典(岩波ジュニア新書)

 

発売日:  1982年06月

著者: 高木仁三郎(たかぎ じんざぶろう)

出版社:  岩波書店

発行形態:  新書

ページ数:  216p

ISBNコード:  9784005000494

(元素の小事典新版は1999年03月発売)

 


図書館の化学の本棚に行くと、必ず何冊かあるのが、水素から順番に元素を解説している本。理化学研究所が合成に成功したニホニウムが注目されたこともあって、新しい本も何冊か出ているようです。

 

元素を順番に解説した本の中で、図書館で見かけたものの中では、最初に出版されたのが高木 仁三郎(たかぎ じんざぶろう)による「元素の小事典」です。初版の発行は1982年(チェルノブイリ原発の事故は1986年)、新版の発行は1999年です。新版ではヨウ素セシウムの項目でチェルノブイリ原発事故にも言及。(余談ですが、地元の図書館では、初版は中高生向けコーナー、新版は一般書のコーナーに置いてありました)


新書サイズの岩波ジュニア新書、見開き2ページに1つの元素という構成。原子の発見や元素の起源と言ったコラムも収録されています。


それぞれの元素の活用例を羅列するだけではなく、電子の軌道とか、原子の崩壊と言った物理化学や原子物理学に関する内容も積極的に取り上げて、易しい表現で説明しています。高校化学の復習と言うよりも、もっと現代的な原子の見方を解説。


この本の、もう一つの特徴は、原子爆弾原発事故、公害、有害な物質の影響で死亡した科学者と、科学の負の部分や危険性にも積極的に言及していること。現在ではスーパーカミオカンデで有名な神岡鉱山は、カドミウムによるイタイイタイ病を引き起こしたと言った具体的な出来事にも言及しています。


最近では類似の内容で、カラー写真を豊富に使ったもの、詳しいデータを掲載したもの、とにかく分りやすさを追求したものと色々な「元素紹介本」が出ています。

 

しかし、自然の驚異を忘れずに人間の驕りを戒めたいと思う人々に、この本は支持され続けるのではないかと思います。