好きなことを知っている人は、しあわせ

好きなことを知れば幸せになれる。好きなことが分からないと幸せになるのは難しい    

お金ってなんだろう? (長岡 慎介)


 

 

お金ってなんだろう? あなたと考えたいこれからの経済 (中学生の質問箱) [ 長岡 

慎介 ]

 

中学生を想定読者とした、ユニークな、見方によっては、癖の強い経済・金融入門。現在のアメリカ中心の金融システムを全て無条件に受け入れるのではなくて、「もっと多くの人が幸せになれる金融の仕組みはないか」と考える若い人たちが増えることを期待して書かれています。

 

お金を本来の用途、商品の売り買いにだけ使用している時には、お金が直接の原因になって世界中が大混乱するような事態は起こりません。しかし資本主義が浸透して、野菜や魚と言った実際の商品を扱う「いちば(市場)」だけでなく、商品取引所のような「しじょう(市場)」が整備されていきました。また、お金を貸し出す銀行や株式会社、先物取引とか債券の証券化と言った金融の仕組みも整備されていきました。こうした出来事は、基本的には世の中を便利にして多くの人に金銭的な利益をもたらしました。しかし一方で、バブル崩壊金融危機と言った世界中に大混乱をもたらすような出来事も起こっています。また資本主義を否定した共産主義国家が失敗したこともあり、現在でも人々の間には大きな格差があります。

 

一方、大学時代に農業経済を専攻し、現在はイスラーム経済が専門の著者、長岡慎介の関心事は、今の日本とは別の金融システムもありえるのではないかということ。その代表例として、イスラム経済、イスラム金融を研究しています。そのため、この本の3分の1ぐらいはイスラム経済、イスラム金融の話(それ以外の3分の2は、資本主義と金融の歴史から経済について考えています)

 

クルアーンコーラン)で利子を受け取ることを禁止しているイスラム教。そのためムスリムイスラム教徒)は独自の金融システムを発展させてきました。そうしたイスラム経済、イスラム金融に関して、この本は、おそらくもっとも易しい入門書にもなっています。

 

蛇足(個人的な感想)
バブル景気の時代、「かねに色はついていない」と言う表現があったと思います。稼いだ金額だけが問題で、稼ぎ方なんて関係ないという意味でしょうか。
昔は皮肉や嘲笑をこめて使われていた表現のような気がしますが、今では「かねに色はついていない」のは当たり前のようになってしまいました。本当に、それでいいのと疑問に思う大人が読んでも得るものがある本だと思います。中学生には少し難しいかもしれませんが。

 

お金ってなんだろう? あなたと考えたいこれからの経済 (中学生の質問箱) [ 長岡 慎介 ]