好きなことを知っている人は、しあわせ

好きなことを知れば幸せになれる。好きなことが分からないと幸せになるのは難しい    

パンの世界 志賀勝栄 講談社選書メチエ (再読)


 

 

この本を読むのは2回目。前回はパンに関する予備知識がゼロだったのですが、天然酵母のフランスパンやライ麦100%のドイツパンを食べてみて、少しだけ知識が増えたので、もう一度読んでみました。

 

この本はアマゾンや楽天ブックスでは批判的なレビューも見かけます。確かに自分でパンを作ってみたい人にとっては理屈っぽい話や理想論、自慢話っぽい内容が目立つ割に、実際に活用するのは難しいのかもしれません。一方、健康的なパンを選びたい、ヨーロッパの伝統を踏まえているという意味で「良いパン」を選びたい、そのためには多少理屈っぽい話も理解したいという人には非常に良い本だと思います。

 

パンの場合、自分の舌だけで選ぶと、砂糖とクリームがたっぷり入った甘いパンを選んでしまいがち。その結果メタボが悪化して和食中心にすべきだと思うのですが、長続きしません。メタボ対策としては多少面倒でも、健康に良いパンについて学ぶことが効果的かもしれません。

 

よく言われるのが、色の濃いパンのほうが健康的と言うもの。確かに、その通りなのですが、ライ麦などの割合を非常に多くすると、酸味(乳酸菌)を加えないと難しい。(こうした内容が理路整然と解説されています)こうした知識があれば、スーパーなどにある一応全粒粉やライ麦が入っていますという商品と、本格的にライ麦や全粒粉で作ったパンとの区別がつきます。天然酵母も、単に名前だけに釣られて選ぶのではなくて、ちゃんと噛めば噛むほど味の出るパンになっているのかを目安に選ぶことが出来る。国産小麦も国産と言うイメージだけで選ぶのではなくて、小麦の性質を理解したほうが納得して選ぶことが出来る。

 

繰り返しになりますが、そんなことを考えながらパンの歴史、小麦粉(ライ麦や雑穀も含む)、酵母(と乳酸菌)による発酵、パン作りを理屈っぽく学んで行くのには良い本だと思います。一方実際にパン作りに関わる人にとっては一握りの成功者の自慢話と感じるかもしれません。

 

そんなわけで著者の意図とは多少ずれてしまったかもしれませんが、個人的には2回目も興味深く読めました。

 

パンの世界 基本から最前線まで (講談社選書メチエ) [ 志賀勝栄 ]