好きなことを知っている人は、しあわせ

好きなことを知れば幸せになれる。好きなことが分からないと幸せになるのは難しい    

自傷・自殺のことがわかる本 松本 俊彦


 

 

自傷行為自殺念慮(ねんりょ)のある人、及び、その周囲の人向けに、適切と思われる対処法を精神科医が解説しています。短期的な危機介入よりも、長期的に「生きづらさ」を軽減していくことを目標としています。

 

イラスト版とありますが、マンガではなくてパワーポイントの資料のような構成。見開き2ページで1テーマ。(この構成も、見やすいと思う人と見ていて疲れる人に分かれるかもしれません)

 

内容的には良くも悪くも精神科医らしいと言うか、全編、冷静で論理的に、当事者の心理や人間関係での注意点、不快な感情を軽減する方法を説明しています。
(切羽詰ってからではなくて、ある程度余裕のある時に読むのが理想かもしれません)

 

長期的な観点から見て大切なのは、(健康な人が)「命の大切さを教え込む」ことではなくて、人間関係の柔軟さを獲得していくこと。自分にとって「生きづらくない人間関係」を獲得していくことが大切です。私自身、40歳を過ぎて、その通りだなと思う一方で、これは難しいということも痛感します。

 

ネットに比べると不便な紙の本。しかしネットの中に答を探しても、ネットの中で完結してしまって実際の生活は、あまり改善されないかもしれません。またネット上での知り合いに幻想を抱いてしまい状況を悪化させることも。それに対して紙の本は、クリックすることもタップすることも出来ないので、視野を現実の生活や人間関係に向ける効果があるかもしれません。ハードルは高いけれども上手く行けば効果は大きそう。

 

この本に載っていることは基本的に正しいとは思いますが、簡単に実行出来るとは限りません。(特に人間関係の再構築は非常に大変なプロセスになるかもしれません)そのため、前書きにもあるとおり「いいとこ取り」、つまみ食いで充分という割りきりが大切だと思います。

 

自傷・自殺のことがわかる本 自分を傷つけない生き方のレッスン (健康ライブラリーイラスト版) [ 松本 俊彦 ]