好きなことを知っている人は、しあわせ

好きなことを知れば幸せになれる。好きなことが分からないと幸せになるのは難しい    

おそ松さんを見て思い出したこと


 


少し前のことですが、テレビ東京などで放送された「おそ松さん」第2期の第18話「イヤミはひとり風の中」。元ネタは昭和の「おそ松くん」で、その元ネタはチャップリンの映画と言う由緒ある作品。イヤミが目の見えない少女を助けようと奮闘するお話でした。個人的には、今回のイヤミと赤塚不二夫が重なって見えて、非常に感慨深い作品でした。

 

この話を見て、原作者赤塚不二夫に関する二つのエピソードを思い出しました。


1997年に上野で行われた赤塚不二夫展。この時は連日赤塚不二夫本人が出演するトークショーが行われていました。私もトークショーを見に行きました。


まだインターネットが、それほど普及していなくて赤塚不二夫が「ネットに書いちゃダメ」と言えば皆守っていた時代でした。ほろ酔いで会場に来て、フランス小噺を延々と話している赤塚不二夫。その中には障害者をネタにしたものも含まれていました。ゲストの松尾貴史が「障害を持つ人がお笑いの対象にならないのが良いことなのかという問題がありますね」みたいにフォローしていたのが印象に残っています。当時は無理やりフォローしているように感じたのですが、今、思い出すと、マンガとかアニメ、お笑いの本質に関わるテーマだったんだなと思います。

 

 

それから数年後、赤塚不二夫は「さわる絵本」を出版しました。今回おそ松さんを見て思い出したので調べてみると図書館の保管庫に保存されていました。表紙は結構痛んでいるのですが、ボロボロになる前に保管庫に移した図書館の判断に敬意を表したいと思います。点字の絵本なのですが、目の見える子も楽しめるように、オールカラーになっています。イヤミ、チビ太、デカパンと言ったキャラクターの輪郭は盛り上がっていて触れるようになっています。本編は「さわる迷路」。目で見ると、とても単純な迷路なのに、目をつぶって手で触っていると、すぐに迷子になってしまいます。

 

この本の終わりには「みなさんへ 赤塚不二夫」と言う文章が載っています。
以下一部を引用します


「みなさん、ぼくにとっても、はじめてのチャレンジのこの「さわる絵本」を、たのしんでもらえましたか?
(中略)
目の不自由なおともだちには、キャラクターのことや、マンガのことを、おしえてあげよう。
点字をしらないおともだちには、点字のことをおしえてあげよう。ひとりでよんでもたのしいけれど、だれかとよむと、もっとたのしくなるぞ。
そうやってみんなが、なかよくなってくれたら、ぼくは、いちばんうれしいです。」
引用終わり

 

この本が出て2年後の2002年に赤塚不二夫は倒れ、2008年に亡くなりました。