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かゆみに関する最新研究を紹介した本


 

世界に「かゆい」がなくなる日/柿木隆介/高森建二【2500円以上送料無料】

(著者は柿木隆介、皮膚科医の高森健二は監修)

 

かゆみに関する最新の研究成果を一般の人向けに紹介した本。


著者の柿木隆介は、電気刺激によって人工的に「かゆみ」を引き起こし、脳の反応を観察する方法で、かゆみに関する基礎的な研究(脳科学的な研究)を行っています。

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生理学研究所 研究紹介 感覚運動調節研究部門 柿木隆介教授
2分11秒から 電気を流して人工的にかゆみを起こす研究の紹介

 

 

著者が行っている方法の他にも、アップルウォッチを利用して睡眠中の様子を記録する方法、マウスを使った動物実験などにより、かゆみに関する研究は急速に進歩しているとのこと。

 

こうした研究から、かゆみは痛みの弱いものではなくて、別物だということが明らかになりました。痛みと類似している部分はあるものの、搔いた時に脳が快感を感じるのが「かゆみ」の大きな特徴です。

 

かゆい時に、かゆみを我慢することは困難ですが、かゆみは他の感覚に比べて、反応が遅く、優先順位が低いものなので、他の感覚で紛らわすことは可能。
皮膚病のかゆみの時に患部を冷やす方法の他に、テレビゲームなどでも、かゆみを緩和できる場合もあるとのこと。

 

また技術的には脳を電気的に刺激することで、かゆみを抑える方法も既に開発されているとのこと。

 

アトピー性皮膚炎に関しては、市販のかゆみ止め(塗り薬)や、皮膚科で処方される抗ヒスタミン薬よりも、紫外線治療のほうが効果が高いとしています。(アトピー性皮膚炎のかゆみを引き起こす物質は、ヒスタミンだけではないないため)

 

また最近注目されている血液透析人工透析)に伴うかゆみなど、皮膚病以外のかゆみも解説しています。

 

最終章では10人以上の皮膚科医による「かゆみに関する考え、コメント」が紹介されていて、基礎研究の研究者と臨床医とが連携していく姿勢を、あらためてアピールしています。

 

一部に難解な部分もありますが、コンパクトにまとまっていて、かゆみ研究の進歩を実感できる一冊です。

 

 

世界に「かゆい」がなくなる日/柿木隆介/高森建二【2500円以上送料無料】