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競争しない競争戦略 山田英夫


 

競争しない競争戦略 消耗戦から脱する3つの選択 [ 山田英夫 ]

 

大手企業と競争しない経営戦略を、具体的な企業の実例を紹介しながら解説しています。紹介されているのは中規模な企業が中心ですが、一部の分野で競争を回避している大企業の例も(フジフィルムのチェキ、コンビニATMセブン銀行や葬祭業に進出したイオンライフなど)

 

この本で大前提になってるのは、業界トップの大手企業は合理的な選択をするということ。そのため損をしてまで競争を仕掛けてくることはないと考えます。
また、今は稼いでいるのに一時的であっても儲けが減る選択をすることも少ないと考えています。一方、中小企業や個人が競争を仕掛けてくるのは回避できず、小規模な会社同士の競争に勝てない会社は生き残れないと言う立場です。

 

具体的な戦略としては、ニッチ戦略、不協和戦略、協調戦略をあげています。

 

ニッチ戦略で大切なのは、単に小さな市場を狙うのではなく、「大手企業にとって
儲かりそうにない状態」を維持すること。それほど儲からず、それほど成長しない状態を維持できずに、ぼろ儲けしたり、市場が大きく成長すれば、最初はニッチ市場でも、やがてライバル会社が参入してきます。

 

当初はニッチ市場だったものの、ライバルが参入してきた例としては、ダイソンのサイクロン掃除機や、ロボット掃除機ルンバ、ほけんの窓口など。

 

単に成功事例を紹介するのではなくて、なぜ大企業は競争を仕掛けてこないのかに、こだわって解説しています。

 

二つ目の不協和戦略は競争をしないというよりも、大企業が反撃しにくい方法で競争を仕掛けると言うほうが的確かもしれません。まともに反撃すると、競争に勝つことによる利益よりも既存の事業で被る損害のほうが大きくなる状況を作り出す高等戦術です。1000円カットのQBハウス、フィットネスクラブのカーブス、ライフネット生命ソニー損保など。不協和戦略の場合は、競争しないのは一時的なもので、状況の変化にともない激しい競争に突入することもありそうです。

 

協調戦略では、主に大企業が部分的にライバル企業と競争しない市場を作り出すビジネスモデルを解説。大企業が一部の部品をライバル企業に提供したり、ライバル企業の商品やサービスを扱う事例、ライバル企業同士で同じサービスを利用する事例が紹介されています。(GEやコスモ石油など)

 

直接的には言及されていませんがゲーム理論を背景とした経営理論という印象。

 

読みやすく色々な業界に応用できそうな内容です。

 

競争しない競争戦略 消耗戦から脱する3つの選択 [ 山田英夫 ]