好きなことを知っている人は、しあわせ

好きなことを知れば幸せになれる。好きなことが分からないと幸せになるのは難しい    

上質な大人のための日本語 関根健一


 

上質な大人のための日本語【電子書籍】[ 関根健一 ]

(実際に読んだのは書籍版です)

 

教養のある人の文章やスピーチに出てきそうな日本語を集めた上級者向きの日本語単語帳。今でも使うけれど、やや古風な日本語が中心。1ページに2単語ほどを、テーマ別にユーモアをまじえて解説。

 

それなりの文章を読んでいる人なら時々見かけるけれども、使い方や語源を勘違いしている人が多い単語が多数収録されています。

 

高校3年生の現代文に出てきそうな日本語とも言えるかもしれません。

 

 

この本で紹介されている日本語の例

 

灯台もと暗しは、岬の灯台と考えても意味は通じるが、語源は昔の室内用照明器具から。

 

怒り心頭に「達する」ではなく「発する」

 

めがねにかなうの「めがね」は眼鏡とは書かない

 

高みの見物は、高見と書くと間違い。高みは高い場所の意味。

 

「かきいれどき」は書き入れ時。売上げを帳簿に書き入れる

 

氷雨は本来は夏にふる「ひょう」のこと。この意味では夏の季語。

 

いさめるは下から上への忠告に使う。

 

ご清聴とご静聴 テープ起こし、口述筆記をやる人は使い分けに注意。

 

この本唯一のカタカナ語はスイートルーム。語源を勘違いしている人が多く、和製語(和製英語)のため例外的に収録。

 

上質な大人のための日本語【電子書籍】[ 関根健一 ]

ウイルス大感染時代(書籍版)


 

ウイルス大感染時代 [ NHKスペシャル取材班 ]

 

NHKスペシャル「MEGA CRISIS 巨大危機 脅威と闘う者たち 第3集 ウイルス“大感染”時代~忍び寄るパンデミック~」を書籍化したもの。

 

あまり売れそうに無い本によくあることですが、大げさなタイトルで注目を引こうとするものの、内容とギャップが生じてしまっています。

 

実際の内容は、新型インフルエンザが流行していない時期、ジカ熱が日本に上陸していない現在、地道に研究を続ける研究者達への取材が中心。

 

インフルエンザワクチンを効率的に作る方法の開発

 

渡り鳥によって運ばれてくるインフルエンザウイルスを調査するために(鳥を食べる)アライグマの抗体を調査している研究者

 

ベトナムの養豚場を調査している日本人

 

ジカ熱を運びうる蚊が日本でも北上を続けていること

 

2009年の新型インフルエンザと異なり、本当に深刻なパンデミックが起きた時のシミュレーション。

 

インフルエンザは鳥や豚、その他多くの動物に感染する人獣共通感染症。豚などに感染してウイルスの変異を続けている。今後、パンデミックを起こすような新型インフルエンザは確実に登場する。

 

理系的なテーマを文系エリートのディレクターが制作すると言った番組制作の裏側の話も少し出てきます。

 

派手なタイトルとは裏腹に、地道な研究やドキュメンタリー番組の制作について興味がある人が読むと参考になりそうな1冊。

 

ウイルス大感染時代 [ NHKスペシャル取材班 ]

水素水の太田教授自身による解説書


 

ここまでわかった 水素水最新Q&A〜続・水素水とサビない身体〜【電子書籍】[ 太田成男 ]

 

一時期、ブームとバッシング起きた水素水。騒動を受けて水素水研究の第一人者、太田成男教授自身が水素水について解説した本です。(2017年3月出版)図書館には、光文社新書の「水素分子はかなりすごい(深井 有)」と言う本もありましたが、こちらは難しすぎて、すぐに挫折。太田教授の本だけ最後まで読めました。

 

読んでる時は面白いのですが、ちょっと冷静になってみると、推測とか仮定の話が多くて、どこまで当たってるのかは分らないと言う印象を受けました。ただし偽科学と違うのは、この本に書かれていることの多くは時間をかければ科学的に検証できる内容だと言うこと。「今は完全には証明できませんが、私の予想を信じて(私にかけて)水素水を飲んでみませんか」と言うのが、太田教授の基本的なスタンス。

 

こういう状況って、美容とか健康な人が摂取する健康食品には、ちょうど良い状況なんだと思います。一方で病気の治療法として試すにはリスクが大きいとも感じます。

 

また水素水などの水素関連の研究自体は真面目に精力的に行われていることは伝わって来ました。一方で、不確かな予測を連発する姿勢は、悪質な商品や医療に利用されるリスクを高める結果になったのかもと言う気もします。

 

個人的にはテレビで何回か見かけた太田先生は親しみのもてる憎めないキャラだったのが印象に残っています。

ここまでわかった 水素水最新Q&A〜続・水素水とサビない身体〜【電子書籍】[ 太田成男 ]

毒ヘビのやさしいサイエンス(本の感想)

毒ヘビのやさしいサイエンス 咬まれるとアブナイ話


発売日:  2014年05月26日頃

著者/編集:  二改俊章, 小森由美子 Anthony T.Tu(杜祖健)
出版社:  化学同人

発行形態:  単行本

ページ数:  165p

ISBNコード:  9784759815665

 

日本にはどんな毒ヘビがいるの? 毒ヘビに咬まれた時に使う血清って何?と言った素朴な疑問に答えてくれる本。


昨年ニュースになったヤマカガシが長い間毒ヘビと思われてなかったこと、子どもがヘビで遊ぶようなケースを除いては、被害の報告は非常に少ないことも紹介されています。

 

 


毒ヘビの毒と治療法についても、高校レベルの生物の知識があれば理解できるように解説されています。


毒ヘビの毒はタンパク質。細菌やウイルスではないものの抗体で中和可能。

 

普通血清と呼んでいるものは抗毒素血清の略で主成分はIgG抗体。

 

抗毒素血清は一般的に馬にヘビ毒を注射して作らせる。

(理論上はラクダなどから作ることも可能)

 

馬から作った抗毒素血清にはアレルギーを起こすリスクがあるが、ステロイドなどを使って副作用を減らせる。

 

現在では動物を使わずに抗体を作ることも可能だが、非常に高価。

 

タイでは抗毒素血清を使う代わりに血液透析を行う治療も。

 

 


タイトルに偽り無し、文字通りの「毒ヘビのやさしいサイエンス」

吉川美代子「愛される話し方」(朝日新書)


 

アナウンサーが教える 愛される話し方 (朝日新書) [ 吉川美代子 ]

 

吉川美代子アナウンサーがTBSを定年になる半年ほど前に出版した本。
当時の肩書きはTBSアナウンサー、TBSアナウンススクール校長。

 

当時の吉川アナは、アナウンススクールや採用面接、新人研修と言った分野で手腕を発揮。この本からも吉川アナの鬼コーチ、名コーチぶりが伝わってきます。

 

吉川アナの基本方針は、「基本を身に付けた上で個性の輝く」アナウンサーを育成すること。

 

誰かの真似から始めるのではなくて、自分自身にとっての「ゼロの声」を見つけることから始めるべきという考えです。


その上で、声の出し方、愛される日本語(アナウンサーにふさわしい日本語)、コミュニケーション能力、時事問題などの教養を身に付けていくべきと言う立場。

 

共通語ではなくて標準語、東京キー局で求められる日本語、テレビ局の方針に従った日本語を解説するという立場で書かれています。

 

著者の考えに反発を感じる人もいるかもしれませんが、ある程度受け入れることが出来る人にとっては、アナウンサーを始めとする就職活動に役立つ内容だと思います。

 

余談ですが、最近脱力タイムズに出ている吉川アナを見ると、環境が変われば人は新しい環境に適応していくものなんだなと思います。

 

愛される話し方 アナウンサーが教える (朝日新書) [ 吉川美代子 ]

がん治療薬オプジーボ  佐々木治一郎


 

今こそ知りたい!がん治療薬オプジーボ (健康人新書) [ 佐々木治一郎 ]

 


一時期、非常に話題になったオプジーボニボルマブ)に関する一般向け解説書です。約1年前、2017年2月発行の新書。

 

がんの三大療法である手術、薬物治療法、放射線療法、そしてオプジーボの登場もあり注目度が高まっている免疫療法の中から、薬物療法と免疫療法について解説しています。

 

免疫のブレーキを解除する「がん治療薬」オプジーボ(免疫チェックポイント阻害薬)。今までの抗がん剤や分子標的薬、免疫療法とは異なるアプローチによる画期的な治療薬。しかし、それは全てのがんに効くとか、副作用が全く無いという意味ではないとのこと。この本では、オプジーボの特長とともに、問題点も平易な言葉で解説されています。(この本が執筆された時点では)特定の患者さんに効果があるかは使ってみなければ分らないとのこと。また抗がん剤のような副作用は起こらない代わりに自己免疫疾患のような副作用が起こる可能性もあるとのこと。

 

その他にも、がんのメカニズムについて細胞レベルで解説されています。
(がん細胞の特性など)

 

治療法の選択に際しては、エビデンスに基づく標準治療を選択することを勧めています。

 

この本の巻末には「著者の利益相反開示事項」が載っています。オプジーボを販売している小野薬品を含む複数の製薬会社から、講演料や寄付金を得ていることを開示しています。しかし、この本はオプジーボの宣伝と言うよりは、冷静な判断に基づく適正な使用を促す内容になっていると感じました。
(自分は、たまたま図書館で見かけて借りてきただけなので、この分野に詳しい人が、どういう評価をされるのかは残念ながら分かりません〕

 

今こそ知りたい!がん治療薬オプジーボ (健康人新書) [ 佐々木治一郎 ]

誤解されやすい方言小辞典 篠崎 晃一


 

東京のきつねが大阪でたぬきにばける 誤解されやすい方言小辞典 [ 篠崎 晃一 ]

 

話し手も聞き手も方言だと気付かない「気づかない方言」を集めて、方言が使われる地域、意味、使い方を説明した本。

 

1ページに1項目、約200語を収録。50音順に収録されていますが、辞書と言うより、単語帳や方言コラムのような内容。

 

この本に収録されている単語の多くは、「あまる」「いか」「うら」「くっつく」
「くむ」「くれる」「くる」と言った共通語でも、よく使う単語。しかし地方によっては、共通語とは違う意味、方言独特の使い方がある単語です。共通語に、方言独自の意味が加わっているので、話し手も聞き手も、共通語だと思って、方言だと気づかないことが多い単語です。

 

明治以前の文献に登場する用例も紹介されているので、方言を通して日本語の歴史にも触れられるようになっています。

 

以下、印象的だった項目のメモ

 

ガレージは、この本に収録されている唯一の外来語。
京都では有料駐車場を意味するとのこと。

 

くる 九州・沖縄では行くの意味で使う

 

「やる」と「くれる」の両方の意味で、「くれる」を使う地域も多い
土佐日記にもある古い用法)

 

におう 西日本では嗅ぐの意味も

 

ゆきやけ 共通語では、日焼けのように肌が黒くなること。
北海道などでは「しもやけ」という意味。

 

はんごろしは、ぼたもち(東北など)

 

たからものは「なまけ者」「役立たず」(北海道、東北)

 

「わに」はサメ(鮫)(島根、広島)

 

ちりは、ゴミ(九州南部、沖縄)
なげるは、捨てる(北海道・東北)

 

東京のきつねが大阪でたぬきにばける 誤解されやすい方言小辞典 [ 篠崎 晃一 ]