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アトピーに関する朝日キーワードの説明をまとめみました

図書館に昔の朝日キーワード(朝日新聞社の時事用語解説)が置いてあったので、
自分にとって興味のあるアレルギーやアトピー関連のページを眺めてみました。

 

図書館にあったものでは、86年、87年に花粉症で、それぞれ2ページ、90年と91年は、アトピー性皮膚炎で1ページ、92年、92~93年、94年にはアレルギー性疾患で2ページずつ解説されています。

 

最も古い86年には、「副じん皮質軟こうなどで治療するが、多くは年長になって治ることが多い」と出ています。副じん皮質軟こうはステロイド軟膏のことなので、現在の視点から見ても常識的な説明だと思います。

一方、現在では注目されることの少ないブドウ球菌感染症説も紹介されています。

 

花粉症に関してはディーゼル排ガス関連説が紹介されています。

また花粉症の治療法として、注射による減感作療法が「効果は確実でなく、患者の負担が大きいのが欠点だが、時に完治することもある」と紹介されています。
(最近話題の減感作療法は、舌の下で錠剤を溶かすもの)

 

86年、87年の花粉症の解説が現在から見ても常識的な内容が多いのに対して、90年、91年のアトピー性皮膚炎は、現在から見ると問題の多い内容になっています。


90年では、アトピー性皮膚炎を「非常なかゆみが特徴で、とくに夜かゆいために激しく泣き、眠れず、食欲を失ったりする」と症状の激しさを強調した上で、「アトピー性皮膚炎は遺伝的にアトピーのある赤ちゃんが、食物に対して起こすアレルギー反応(中略)の結果と考えられる。」「食事療法の徹底は有効だが、卵や牛乳は加工食品に広く使われ、普通の食事がほとんど出来なくなる」など、今読むと、食物アレルギーとアトピー性皮膚炎を混同した問題の多い記述になっています。

 

86年、87年のみ漢方薬による治療も紹介されています。(消風散と柴胡剤)

 

 

最後の92年、92~93年、94年では、再びバランスの取れた記述へと軌道修正を図っています。

 

92年
アトピー性皮膚炎治療混乱の最大要因は、小児科医と皮膚科医で、食物に対する考え方が大きく異なることだ。小児科医の多くは、卵、牛乳、大豆などでテストをし、陽性の場合は食物制限を強く指導する。一方、皮膚科医は栄養の偏りをより重要と見て、ほとんど食事を制限しない。マスコミには小児科医の意見が強く反映されており、母親は食物に過剰なほど敏感になっている。」
「国際的には、アトピー性皮膚炎と食物は本質的な関係と考えられていない」と言った内容になっています。

 

94年では、小児科医と皮膚科医の対立という構図ではなく、「日本では、アトピー性皮膚炎の原因を食物やダニによるアレルギーと考える医師が多いが、世界的には疑問視されている」と微妙な表現になっています。

 

一方ステロイドをめぐる混乱に関して言及している年は(図書館にある限りでは)
全くありませんでした、


こうした内容を、都合よく責任転嫁するマスコミの無責任な態度と考える人もいるでしょうが、個人的には当時の医療側の混乱が伝わってくる興味深い内容だとも思います。

 

 

90年を除き、IgE抗体に関する記述があります。最近注目されているTレグ細胞同様、日本人による世界的な発見が直接的に治療に結びつくことへの期待が反映されているような気もします。

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アトピー性皮膚炎の治療では、アレルギーを特定するための検査は重要ではなく、ステロイドの正しい使用や心理療法が効果的と言う立場で書かれた1冊。


アトピー患者の具体的な症例を報告した部分は非常に臨場感があり、精神科医心療内科のように患者の悩みに向き合っているという印象を受けました。

 

ステロイドに関しては医師が正しいと思った治療法を実施するインフォームドコンセントではなくて、最終的には患者に選択させるインフォームドチョイスの立場を明確にしています。そして内服薬は危険、塗り薬は安全と言う立場を取るのではなく、強いステロイドが必要な時は短期間、内服薬を処方する時もある一方で塗り薬の場合でも長期間の連用は避けるべきという立場を取っている。


また再発予防効果が高く計画的にステロイドを減らすことの出来るプロアクティブ療法の有効性を強調しています。血液検査に関してもアレルギーを特定するための検査は必要ないという立場ですが、炎症状態(アトピー性皮膚炎の酷さ)を測定するTARCに関しては有効に活用すべきと言う立場です

 

一方ステロイドの使用を望まない患者や、ステロイドだけでは治癒しない患者には心理療法が効果的という立場。著者自身は、ブリーフセラピーとナラティブセラピーを活用しているとのこと。アトピー性皮膚炎の心理療法について詳しく載っている本は少ないので貴重。

 

このブログで以前紹介した川島眞医師もアトピー性皮膚炎の心理的な要因を重視する立場ですが、どちらも理論的な研究からではなく臨床経験から心理面の影響の大きさを重視するようになった点は共通しています。その一方で、大学教授で大学病院勤務の川島医師と、開業医の清水医師の立ち位置の違いも個人的には興味深い内容でした。二人とも、心理面を重視する一方で、抗うつ薬など精神科で処方される薬を使用することの是非については言及を避けています。まだ結論の出ていないテーマなのかもしれません。

 

私自身も皮膚科に通院しているのですが、皮膚科は他の科に比べて診察料が安いような気がします。また大学病院の偉い先生は、アトピーと他の病気の正確な鑑別には熱心で診断自体は頼りになりますが、病気を治しきるという熱意には乏しい場合が多いような気がします。しかし、この本の清水医師のように、充分な知識と経験を持つ皮膚科医が、本気で治そうとすれば、難治性と言われている皮膚病のかなりの部分は治るのではないかと思いました。理想の皮膚科医についても考えさせられる1冊でした。
 
関連記事
皮膚に聴く からだとこころ 川島眞 PHP新書

 

リーダーの栞(モーサテ)で意外な1冊

テレビ東京系、朝の経済ニュース番組「Newsモーニングサテライト」、
社長など経営者の愛読書を紹介するリーダーの栞では、少し意外な本が
紹介されていました。


(以下公式サイトから引用)

www.tv-tokyo.co.jp



今回のリーダーは、郊外を中心に「焼肉きんぐ」「丸源ラーメン」「お好み焼き本舗」などを全国で200店ほど展開する物語コーポレーションの小林佳雄会長です。紹介する本はオランダ人ジャーナリストが書いた「人間を幸福にしない日本というシステム」。日本人の幸福をはばむ原因は「説明する責任」のない官僚が事実上の権力を握っていることにあると分析。人々は「シカタガナイ」というひとことで無関心でいるよう「しつけられている」と説いています。小林会長は本を読み「説明責任」こそ社員が自立してイキイキと働く原動力になるといいます。

 

人間を幸福にしない日本と言うシステム
カレル・ヴァン・ウォルフレン /著, 篠原 勝 /訳
毎日新聞社

 

感想
まだジャパンアズナンバーワンと信じていた人も少なくなかった20年以上前のベストセラー。当時は日本の官僚は特に優秀だと信じていた人が多数派だったと思います。官僚を反面教師にすると言う発想が非常に面白いと思いました。

幸せのため欠かせないものランキング(TBS ランク王国)

放送から既に時間が経ってしまいましたが、TBSで土曜日深夜にやっているランク王国で、「渋谷・原宿の女性300人に聞きました 幸せのために欠かせないものTOP10」と言うランキングをやっていました。

 

Q.渋谷・原宿の女性300人に聞きました
幸せのために欠かせないものTOP10

 

1位 お金 63人
2位 食べ物 44人
3位 友達 42人
4位 家族 37人
5位 睡眠 16人
6位 笑顔 13人
7位 ペット 11人
8位 恋人 9人
9位 時間 8人
10位 旅行 6人

 

 

特別なことよりも、ささやかな幸せを求めている人が多いようです。

6位の笑顔は男性には、かなり珍しい回答ではないかと思います。

また年齢層があがると、健康がランクインするのではないかと言っている人もいました。

 

 

免疫学個人授業 多田富雄 南伸坊

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免疫学個人授業 多田富雄 南伸坊 新潮社
(自分が読んだのは、図書館にあった単行本)

 

雑誌の企画で行われた多田富雄の免疫学個人授業(生徒役は南伸坊)を書籍化したもの。

 

この企画が行われた1995年は、阪神淡路大震災地下鉄サリン事件があった年で
内容にも当時の世相が反映されています。

 

免疫学関連の話題と言えば、エイズ後天性免疫不全症候群)が世間一般の関心が高く、「脳内革命」がベストセラーになった時期。

 

一方、ノーベル賞を受賞した利根川進の研究は難しすぎるためか、この本に出てくるのは2行程度。

 

またアトピー性皮膚炎はステロイドとの関連で社会問題になっていたはずですが、
当時は免疫の暴走(アレルギー疾患)と言う認識が一般の人には乏しかったのか
特に言及されていません。

 

アレルギーについては、それほど詳しくは出ていませんが、花粉症やアトピー性皮膚炎に悩む人にとっては、お馴染みのIgE抗体を発見した実験については詳しく書かれています。

多田富雄自身が、助手兼被験者として実験に参加して、人体実験の実験台になってIgE抗体が発見される)
このエピソード以外にも若い頃、研究に夢中になっていた時期の様子が活き活きと語られていて興味深い内容でした。

 

免疫学の授業の部分は先生の講義用のノートではなく、南伸坊のノートをまとめたという形式になってるので、あくまでも読み物であり勉強向きではなさそう。

 

大きな出来事が相次いで起こった20年前の日本を振り返ったり、自己と他者、寛容とアレルギーと言ったテーマを考えてみるには面白い内容でした。

なぜ皮膚はかゆくなるのか 菊池新 PHP新書

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 なぜ皮膚はかゆくなるのか 菊池新(きくちあらた) PHP新書

 

皮膚病になると、つらく、ガマンするのが難しい「かゆみ」


かゆみのメカニズムが解明され始めたのは最近のことで、自分が高校生のころには、「かゆみは痛みの弱い感覚」と現在では否定されている説が紹介されていました。

(ここら辺の詳しい事情も本文中に出ています)

 

この本では、かゆみに関する最近の研究を紹介し、かゆみに悩む人たちへのアドバイスが書かれています。

 

この本を読んだのは2回目。最初に読んだ時は細胞レベルのミクロの世界の話が多くて、あまりピンと来ませんでした。しかし、皮膚やアレルギーに関する本を数冊読んでから読むと、極端に難しい内容と言うわけではなく貴重な内容が多く含まれていると思いました。(かゆみに関して詳しく解説してある本自体が少なく貴重)

 

 

かゆみのメカニズムに関する具体例

 

最初は、それほど「かゆくなかった」のに、掻けば掻くほど、軸索反射で、どんどん「かゆくなる」こと。(かゆみの範囲が広がっていくメカニズム)

 

掻けば掻くほど、皮膚病が悪化して、かゆみも酷くなる「イッチ・スクラッチサイクル」

 

またアトピーに関する最近の本と同様に、かゆみには心理面の影響の大きい「中枢性のかゆみ」も存在し、時には精神科的な治療も必要と書かれています。

 

これらの説明を読むと、自分自身が長年悩まされている「かゆみ」に関しても、
かなりの部分納得できました。

 

 

ただ実際に皮膚病に悩まされている人の場合、以前の自分のように内容がピンと来なかったり、混乱してしまう人もいるかもしれません。
ある程度症状が落ち着いて冷静になった時に読むと色々と参考になりそうです。


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皮膚に聴く からだとこころ 川島眞 PHP新書

 

 

知っているようで知らない免疫の話 西村尚子 


 

 

知っているようで知らない免疫の話 西村尚子 技術評論社 2010年 8月 

 

医学よりも生物学的な視点にこだわった免疫の話(科学読み物)


著者の西村尚子は医師ではなくサイエンスライターで、
図書館でも、医学の棚ではなく生物学のコーナーにありました。

 

細菌が、さらに小さいウイルスから自分を守る仕組みから初め、原索動物のホヤ(貝みたいな珍味として食用にされる)、昆虫、植物、鳥類、魚類などの免疫を見て行きます。ヘビやワニなどの爬虫類は、研究しづらく、ほとんど解明されていないとのこと。

 

多くの生物が、ウイルスや細菌がから自分を守る仕組みを持っている一方で、
「同じ感染症に二度かかわらない」という意味での免疫(獲得免疫)を持っているのは一部の生物に限られるとのこと。

 

 

後半は人間の免疫に関する話ですが、基礎的な内容は駆け足で済ませて、
ノーベル賞を受賞した利根川進の研究や、がんの免疫療法、エイズ治療薬、
新型インフルエンザとタミフルと言った最近の話題を中心に取り上げています。
(この本が出版された2010年は、新型インフルエンザが流行した翌年)

 

細胞やウイルスレベルの話が中心で、高校生が、たんぱく質や遺伝子と言った概念に慣れるのにも役立ちそう。

 

すぐに試験を受ける必要がある人や、アレルギーなど免疫関連の病気に悩んでいる人にとっては、実用性に欠けるかもしれませんが、生物が好きな高校生が夏休みに読むのには良さそうです。